“高学歴ワーキングプア”が急増中! 「官製資格ビジネス」に乗せられた博士たちの悲痛
以下は、記事の抜粋です。
“高学歴ワーキングプア”が急増中だ。最高学歴を獲得した人々が、生活保護受給者や無保険者になっていく。毎年約1万6000人ずつ輩出されるという博士課程修了者。2009年の就職者は約1万人と就職率はわずか64%だ。
それにしても、ポスドクの給与は低い。月に20万円ももらえればいい方だ。任期制のため、関わっているプロジェクトが終わればお払い箱になる。
「ポスドクなんて、我々から見れば天国ですよ」とため息をつくのは、都内私立大学の非常勤講師。週に1コマ(90分の講義)につき、月額2万5000円。これが非常勤講師の平均賃金である。
博士号まで取得した人々が、失業者や生活保護受給者になる今の時代。行き場のない博士たちはなぜこれほど増えたのか――。1991年から始まった、旧文部省の「大学院重点化政策」だ。
その結果、大学院生の数は急速に膨れ上がった。91年の大学院在学者は9万8650人だが、08年は26万2655人。およそ3倍だ。
学費をまかなうために借りた奨学金の不良債権化も、深刻な問題だ。奨学金とはいっても、欧米のスカラシップ(給付型)と違い、日本のものは単なる“教育ローン”だ。
ある非常勤講師はこう心情を吐露した。優秀な研究者を支え、育てる仕組みが失われようとしている今の日本。病院が壊れかけているように、大学もまた崩壊の危機に直面している。
博士が増えたのは「大学院重点化政策」が原因である、という指摘は正しいと思います。
ポスドクと非常勤講師を混同している点がわかりにくいですが、博士課程へ進学しても安定した就職先がない、という点では共通しているので、これもよしとしましょう。
しかし、少なくとも理系の博士後期課程の学生の場合、TAやRA等の制度が充実しているので、在学中の経済状態はそれほど悲惨ではないと思います。
また、学術振興会のPDなどに採用されれば、かなり余裕だと思います。優秀であれば奨学金返還が免除される制度もありますので、この記事は誇張しすぎでしょう。
私はこの記事に書かれている問題の根源は、文科省ではなく、世代間対立だと思います。既得権益をもつ中高年層ともたない若手層の対立です。
大学院重点化や任期制の導入、最近の定年制延長などは、中高年層の既得権益を強化しました。一方で、若手教員の独立性を高めるはずの准教授制度などは骨抜きになっています。
定年延長の資金は、非常勤講師の雇い止めで生み出されるそうです。
既得権益をもつ人々が極端に強い組織は、腐敗します。しかし、このような組織は、会社や病院のようには簡単に崩壊しません。それが問題だと思います。
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