カフェインがアルツハイマー病を予防、認知症状を改善?

マウスのアルツハイマー病、カフェインで改善

朝日新聞の記事です。


コーヒーなどに含まれるカフェインがアルツハイマー病の認知症状を改善するとともに、患者の脳に沈着する異常なたんぱく質が作られにくくすることを埼玉医大の森隆准教授ら日米のチームがマウスの実験で確認した。米医学誌「ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディジーズ」(電子版)で発表した。

研究チームは、アルツハイマー病を発症した生後約18カ月の高齢モデルマウスに、人間で換算すると1日当たりコーヒー5杯に相当するカフェインを水に混ぜて1カ月飲ませ、認知や運動機能テストなど8項目について調べた。

目的地まで迷子にならないかを調べる実験では、カフェインを飲ませたマウスはミスが減って毎回場所が変わる目的地までの到達時間も早くなり、健康なマウスと同程度の成績だった。水だけを飲んだマウスでは症状は改善しなかった。

カフェインを飲ませたマウスは、記憶をつかさどる脳の海馬や大脳皮質で異常なたんぱくの沈着が減少。カフェインの投与で異常なたんぱく質を作り出す酵素の働きが抑えられることも分かった。

森准教授は「人間の疫学調査などで予想されていた症状改善の仕組みが解明できた。マウスではあるが、症状の進行を抑える方法を考えるうえで有効なデータだと思う」と話している。


2009年4月22日の読売新聞には、「コーヒー飲みアルツハイマー病予防?…カフェイン効果に期待」というタイトルで以下の記事が掲載されていました(現在は掲載終了)。


コーヒーやお茶などに含まれるカフェインに、アルツハイマー病の予防効果があるとする研究結果を、森隆・埼玉医大准教授と米フロリダアルツハイマー病研究センターなどが動物実験からまとめた。

米国で近く患者らにカフェインを投与する臨床試験に入る。米専門誌に論文が掲載される。
物忘れがひどくなるアルツハイマー病は、脳にたんぱく質のアミロイドベータ(Aβ)が異常に蓄積して、神経細胞が死んでしまう。

研究チームは、生まれつきAβが蓄積しやすいマウスに、1日あたり約1・5ミリ・グラムのカフェインを水に溶かして4~5週間与えた。人間がコーヒーを毎日5杯ずつ飲むのに相当する。その結果、カフェインを与えないマウスに比べ、記憶力の低下が改善した。記憶にかかわる脳の海馬や大脳皮質では、Aβが蓄積した「老人斑」の形成が4~5割減少した。カフェインがAβを作る酵素の働きを抑えることも突き止めた。

森准教授は「カフェイン入り飲料は広く飲まれており、病気の予防や進行抑制の効果を注目していきたい」と話している。


4月には、カフェインがアルツハイマー病予防に、今度は、既に発症している認知症状に効果があることを示したのかと思いましたが、そうではなく、同じ話が2度新聞記事になっているようです。

カフェインが暗算などの能力を高める事は、医学部の学生実習などでも確認できるような、良く知られた事実です(「カフェインによる二重盲検法の実施」を見る)。また、適量のコーヒーでアルツハイマー病の発症リスクが低下するという報告もあります。

読売の記事にある、「米国で近く患者らにカフェインを投与する臨床試験に入る」というのは本当でしょうか?

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