インパクトファクター、h指数

教授選を左右?インパクトファクターの功罪
個人の論文業績を評価する新指標が登場

ある雑誌のX年のインパクトファクターとは、その雑誌に(X-1)年と(X-2)年に掲載された論文数をa、それらの論文がX年に引用された回数をbとしたときに、b÷aで求められます。これは、雑誌の評価です。

h指数の求め方は、ある研究者の発表した論文の数を横軸にして、被引用回数の多い順に左から右に並べた上で、縦軸をそれぞれの論文の被引用回数としてグラフを描きます。そこに、原点を通る右45度の直線を引くと、グラフとの交点がhとなります(下の図)。これは、研究者の評価です。


これらのファクターや指数はすべて、引用を基にしています。すなわち、「良く引用される雑誌は良い雑誌で、良く引用される論文は良い論文である」という仮説に基づいています。この仮説はたぶん正しいと思います。

ある命題が正しいとすると、その対偶は必ず正しいが、その逆は必ずしも正しくないです。上の後半の仮説「良く引用される論文は良い論文である」の対偶は、「ダメな論文はあまり引用されない」でこれも正しそうです。問題はその逆、「あまり引用されない論文はダメな論文である」、これは正しいでしょうか?

私は、必ずしも正しくないと思います。というのは、良い論文でも関連する研究者が少なければ、引用される回数は少ないからです。つまり、非常にオリジナリティーが高く、興味を持つ人がまだ少ないような研究成果を記載した論文は、有名雑誌にもアクセプトされにくいし、引用もされないことになります。

実際、一酸化窒素NOがグアニル酸シクラーゼを活性化することを発見してノーベル賞の対象となった論文は、Journal of cyclic nucleotide researchという名もない雑誌に1977年に掲載されました。その後、約10年近く経って内皮細胞由来血管弛緩因子がNOであることがわかり、ようやく論文が注目されるようになりました。

インパクトファクター、h指数、大型研究費、特許、受賞、新聞掲載—–すべて功罪がありそうです。

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