カリフォルニア大学がエルセビアとの購読契約を打ち切った

科学論文を出版するエルゼビアとの購読契約を完全に打ち切ったとカリフォルニア大学が発表
以下は、記事の抜粋です。


世界最大の科学出版社であるエルゼビアによって出版された学術誌の購読を完全にやめるとカリフォルニア大学が発表しました。カリフォルニア大学は大学に所属する研究者が発表した論文を全ての人に対して無償公開することを要求しましたが、エルゼビアが条件として大学側にさらなる料金を要求したために交渉が決裂したとのことです。

科学論文の多くはエルゼビアを初めとする出版社の有料購読サービス経由で公開されており、これが科学研究の発展を阻害すると共に、出版社が大学や研究所が支払う購読料で膨大な利益を得ていることが、かねてから問題として指摘されてきました。

そんな中、エルゼビアの大口顧客の1つだったカリフォルニア大学が、数カ月に続く交渉の末、エルゼビアとの契約を打ち切ったことを発表しました。

カリフォルニア大学はアメリカで出版される論文のおよそ10%を担っています。カリフォルニア大学の大学評議会代表であるRobert May氏は「知識はお金を払うことができる人のみに公開されるべきではありません」「私たちが大学としての使命を果たすためには、フルオープンアクセスへの探求は不可欠です」と声明を発表しています。


エルセビア社は「Cell」や「Lancet」などの「有名雑誌」を発行する出版社です。日本では、これらの雑誌に論文を掲載することが研究者の採用や昇進、さらには予算獲得に強く影響するので、多くの研究者が大変な努力をしています。極端な場合はデータをねつ造してまでこれらの雑誌に論文を掲載するヒトもいました。

昔は多くのヒトが読む有名ジャーナルに論文を掲載しないと無視されるようなことがありましたが、今ではいわゆる「ハゲタカ雑誌」以外なら論文に掲載された内容はもれなく検索に引っかかってくるので、意図的に無視される以外は、研究の存在はほとんどの場合他の研究者に認識されます。

カリフォルニア大学だけではなく、ドイツ学長協会や国立台湾大学などがエルセビアとの契約を打ち切ったというニュースがあります。残念ながら、私の知る限り日本の研究機関はまだそこまでの決断をしていないようです。

研究者コミュニティーも「有名雑誌」掲載に対するこだわりや過度の尊重を止めることが重要だと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました