元官僚だからこそ分かる「サマータイム導入議論」のバカバカしさ
最近、東京オリンピックが暑すぎるというので、サマータイム制導入の話が出てきていますが、導入されないだろうと思います。以下は、説得力があると思われる記事の抜粋です。
安倍総理は8月7日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長と会談し、期間中の暑さ対策として、サマータイムの導入を検討するよう自民党に指示する意向を示した。森会長は、先月27日にも官邸を訪れている。安倍総理としては、門前払いもできないので、政府として直ちに検討するのではなく、自民党で検討する、と応じたのだろう。
サマータイムの論点は、66年前の国会審議でほぼ尽くされている。省エネになるかもしれないが、一方で労働者の過労の原因となって、効率性をかえって低下させる、というわけだ。
サマータイムの経済効果が、せいぜい1兆円、つまりGDPの0.2%程度であるに対して、損失はひと桁大きい。ましてや1~2年の限定で導入するという案は、システム変更などによって社会に対して多大なコスト負担を強いるものなので、とても現実的な案とはいえないだろう。
サマータイムは、活動時間の拡大ではなく、1~2時間程度のシフトであるので、それほどの経済効果は考えられない。経済活動が増えるという条件で計算されることが多いが、その考えにははなはだ疑問がある。活動時間が長くなるとの前提は、穿った見方をすれば、残業強化にもつながってしまう。2時間早く出勤すると、退社時刻は暑い最中になる。その暑いときの帰宅を避けようとして、2時間長く残業するになると、単なる残業強要ともなりかねない。
そもそも経済界や経産官僚が推進する「時間もの」政策は、意味ないものが多い。最近では「プレミアムフライデー」などが、その典型だ。その程度のものなら、国民生活に人畜無害であるが、サマータイムのように国民に「早起き」を強制するものになると、実害が出てくる。
もしサマータイムを実施するというなら、是非霞ヶ関の官僚たちを使って、予め実験しておくべきだ。もともと霞ヶ関官僚の出勤時間は遅い。だから多少早く出勤しても民間並なので、本当に実験させるなら、出勤時間を今の9時半から、5時半とか6時半くらいにしなければいけない。これを来年の夏に霞ヶ関で実験して、その効果を確かめるべきだ。
サマータイムについて自民党内でどのような議論・検討が行われるのだろうか。見物である。
アメリカに行ってこの「サマータイム」のことを”summer time”と言ったら、まったく理解されませんでした。アメリカでは”daylight saving time”と言わないと通じません。
IT業界でも、「サマータイム制は実務的に不可能」という考えが以下のように強いようです。
日本でサマータイム制を絶対に導入してはいけない技術的な理由の一部
確かに、会社が3時に終わったら、まっすぐ帰宅するには暑すぎるような気がします。まあ、「サマータイム」導入はないと考えておきます。
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