2017年 世界で最も売れた薬は「ヒュミラ」 「オプジーボ」もトップ20入り
以下は、記事の抜粋です。
2017年に世界で最も売れた医薬品は――。米IQVIAが公開した2017年の医療用医薬品世界売上高上位20製品のランキングでトップとなったのは、米アッヴィの関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」。売上高は前年比16.9%増の227億1300万ドル(約2兆5438億円)に上りました。
2位は113億2500万ドル(約1兆2684億円)を売り上げた仏サノフィのインスリン製剤「ランタス」。特許切れで7.1%の売り上げ減となったものの、前年3位から1つ順位を上げました。3位は米ファイザーの関節リウマチ治療薬「エンブレル」で、売上高は112億8200万ドル(約1兆2635億円、前年比2.6%増)でした。
前年2位だった米ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ハーボニー」は、売上高84億3200億ドル(約9443億円)と前年から49.0%減となったものの4位にランクイン。ギリアドのC型肝炎治療薬は日本未発売の「エプクルサ」も17位に入りました。
市場拡大が著しい経口抗凝固薬では、独バイエルの「ザレルト(日本製品名イグザレルト)」が76億7400万ドル(約8594億円)、ファイザー/米ブリストル・マイヤーズスクイブの「エリキュース」が70億1000万ドル(約7851億円)で、いずれもトップ10入り。それぞれ前年比で18.7%増、52.9%増と高い伸び率となりました。
日本企業が創製した医薬品で唯一、世界トップ20に入ったのは、16位になった小野薬品工業とブリストルの免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。売上高は54億9800万ドル(約6157億円)で、前年から32.8%増加。米メルクの「キイトルーダ」などライバル製品も相次いで発売される中、免疫チェックポイント阻害薬としても唯一のランクインとなりました。
世界と日本の医薬品売上高ランキングを比較すると、共通して上位にランクインしているのは、
▼関節リウマチ治療薬「レミケード」(世界5位・日本5位)
▼ザレルト(世界6位・日本6位)
▼疼痛治療薬「リリカ」(世界11位・日本4位)
▼糖尿病治療薬「ジャヌビア」(世界12位・日本7位)
▼抗がん剤「アバスチン」(世界14位・日本1位)
▼オプジーボ(世界16位・日本3位)の6製品。
世界ではランタスと「ノボラピッド」「ヒューマログ」の3製品がランクインしたインスリン製剤は日本ではトップ10に入っておらず、逆に日本では「オルメテック」「アジルバ」がランクインしたARBが世界トップ20には入っていません。日本では、いずれも世界ランキング上位には登場しないPPI「ネキシウム」が2位に、消炎鎮痛薬「モーラス」が9位に入っています。
2.5兆円余りを売り上げたヒュミラも、日本の売上高は435億円でレミケードに大きな差をつけられています。日本ではトップのアバスチンや3位のオプジーボも、世界ではトップ10に入っていません。
領域別に世界市場を見てみると、トップは989億900万ドル(約11兆778億円)の悪性腫瘍。以下、▽糖尿病(887億1900万ドル、約9兆9365億円)▽疼痛(589億1900万ドル、約6兆5989億円)▽自己免疫疾患(559億7200万ドル、約6兆2688億円)▽呼吸器疾患(約4兆9492億円)――と続きました。
上位5領域では疼痛だけが0.9%減と唯一のマイナスで、悪性腫瘍(12.1%増)や自己免疫疾患(11.5%増)が高い伸び。上位10領域まで広げて見てみると、抗凝固薬(13.1%増)も大きく拡大した一方、高血圧症や抗菌薬、抗精神病薬・抗うつ薬は市場が縮小しました。
アバスチン®(一般名:ベバシズマブ)は、関連記事にも書いたように、血管の新生を阻害することにより、がんの進行を抑えるとされていますが、研究では下肢および肺の血栓リスクを33%増加させることが示されており、米FDAは2010年12月、「アバスチンは安全ではなく乳がんへの効果もない」との見解を示しています。さらに、アバスチンは結腸直腸がん、非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療において、化学療法と併用すると死亡リスクが増加することも報告されています。日本で1位というのにはとても驚きました。
「モーラス®」(ケトプロフェン)の高い売り上げは、日本の高齢者の貼り薬好きを反映していると思います。貼り薬を保険適用から外そうとする支払い側の気持ちもよくわかります。
「ネキシウム®」(エソメプラゾール)は、認知症と関連するという報告のあるPPIの1つです。メーカーの宣伝が上手なためか、日本人医師はよく処方するようです。
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