「日本企業、博士採用増で生産性低下」? 文科省よ!怒れ!!

日本企業、博士使いこなせず? 採用増で生産性低下  日本経済研究センター分析
以下は、記事の抜粋です。


日本企業が博士号取得者の採用を増やすと、逆に生産性が下がるとする分析を日本経済研究センターがまとめた。一人前の研究者とされる博士人材は、海外企業では即戦力への期待も高いだけに意外な結果となった。日本では、企業が終身雇用制などに縛られて人材を使いこなせていない可能性や、大学で企業の研究現場で役立つ人材が十分に育っていないことが考えられるという。

総務省や日本経済新聞社の調査から分析した。全社員に占める博士号取得者の割合が増すと、1人当たりの売上高などにあたる労働生産性が低下していた。2000年代の大半で同じ傾向だった。

同センターは(1)企業の現場で適切な役割が与えられず、博士人材の専門能力が生きていない(2)提案力や構想力が乏しく、企業の応用研究に対応できる博士人材が大学で育っていない――などとみている。日本企業の雇用制度では優秀な人材が定着しにくく、大学の研究教育環境も世界に劣るとの見方もある。


どんな科学的根拠に基づいてこんなすごい結論をだしたのかと思って調べてみたところ、公益社団法人日本経済研究センターが1月26日発表した「博士増、生産性向上に結びつかず」と題するPDFをみつけました(PDFをみる)。下の「博士は増えたが、アウトプットには結びついていない」というタイトルのグラフが唯一の根拠となるデータでした。


「労働生産性」をどう算出しているにしても、これは単に20年間の博士号取得者の増加率と労働生産性の増加率の推移を1つのグラフにまとめただけのものです。

このグラフから、研究センターは、「博士数の増加が、必ずしも生産性の向上につながっていない」と結論しています。日経の記事では、これを「博士号取得者の採用を増やすと、逆に生産性が下がる」という書き方に変えてしまっています。これは誇張・歪曲の類です。

生産性が向上しない理由は、他にも多くあるはずです。文科省よ!怒れ!!

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