以下は、記事の抜粋です。
米クレイ数学研究所は、数学上の未解決問題だった「ポアンカレ予想」をグリゴリー・ペレリマン氏(43)が証明したと認定した。同研究所は2000年、ポアンカレ予想など7つの難問を「ミレニアム問題」として発表、各問題に100万ドルの賞金をかけている。
ポアンカレ予想とは、仏の数学者、アンリ・ポアンカレ(1854~1912)が1904年に提示した、位相幾何学(トポロジー)に関する予想。7つのミレニアム問題のうち証明が認定されたのは初めて。
ペレリマン氏は2002年、ポアンカレ予想を証明したとする論文をインターネット上に公表、他の数学者が検証を続けてきた。同氏は06年、フィールズ賞に選ばれたが、受賞を辞退していた。
ペレリマン氏は1966年、旧レニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれのユダヤ系ロシア人。大学卒業後、米国で研究生活をへて地元の研究所に職を得たが、05年に退職。以来、故郷で母親との“隠とん生活”に入り、人前に姿を見せなくなった。
ヒルベルトの第5問題を解いた山辺英彦氏は、父の友人で、氏が37歳で亡くなる直前にお会いする機会がありました。氏に憧れて数学をやろうとしたこともありました。
ポアンカレ予想とは、Wikiによると、「数学的に厳密ではないが、たとえて言えば、宇宙の中の任意の一点から長いロープを結んだロケットが宇宙を一周して戻ってきて、ロープの両端を引っ張ってロープを全て回収できた場合、宇宙の形は概ね球体(=ドーナツ型のような穴のある形、ではない)と言えるのか、という問題である。」です。
漫画でわかるポアンカレ予想によると、「ロケットに長い長いロープを付け、宇宙に飛ばしてみる。そして、無事、ロケットは地球に戻ってきたとする。このとき、長い長いロープをたぐり寄せて回収することができたら、概ね、宇宙は丸い」です。
池田信夫氏のblogによると、「3次元物体にかけた輪ゴムを一点に縮めることができるのは(トポロジカルな意味の)球面だけだ」です。
ペレルマン氏(Grigory Yakovlevich Perelman)は2002年から2003年にかけて、以下の3つの論文を専門誌ではなく、プレプリントサーバのarXivに公表し、ポアンカレ予想を解決したと宣言しました。
The entropy formula for the Ricci flow and its geometric applications
Ricci flow with surgery on three-manifolds
Finite extinction time for the solutions to the Ricci flow on certain three-manifolds
ペレルマン論文に対する他の数学者達による検証は、2006年夏頃まで続きましたが、ポアンカレ予想についての証明は正しいとされています。ペレルマン氏は、2006年、ポアンカレ予想解決の貢献によりフィールズ賞を受賞しましたが、「自分の証明が正しければ賞は必要ない」として、フィールズ賞史上初めて受賞を辞退しました。
氏は、母親と貧しい生活を送りながら、現在も数学の新たな別の難題の解決に取り組んでいるそうです。病気の可能性もありますが、カッコイイと思います。
arXivには査読制度はなく、主に物理学、他に数学、計算機科学、量的生物学などの論文が登録されています。昨日現在59万報以上の論文が保存されており、毎月約5,000報の論文が追加されているそうです。ポアンカレ予想についての論文もPDFです。医学・生物学の分野でも、このようなサイトが一般的になれば面白いですね。
記事にリンクした動画の中で、「研究室を知る関係者」という女性が、「神戸大の事件が発覚した時には、これからはキチンとまあ、対応した、あ、その、処理をするんですが、これまでもしていたっていう風に言うように、っていう指示を受けました」と発言しています。
今のところ、全国ニュースにはなっていません。
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