ドイツのペット愛好家の間で生まれたクローンザリガニ 

自分自身のクローンを作り出して爆発的に増殖していくザリガニ
以下は、記事の抜粋です。



メス1匹しか水槽にいないはずなのに、どんどんと増殖していくザリガニが存在し、過去の研究から「生み出された子どもは母親のクローンである」ということが判明していました。さらに、このザリガニの遺伝子について5年間の調査が行われ、なぜ「クローンで増殖するザリガニが生まれたのか?」という誕生の秘密に迫った研究結果が発表されています。

Marmorkrebs (これはドイツ名、英語ではmarbled crayfish、日本名:ミステリークレイフィッシュ)と呼ばれるザリガニがドイツのペット業界に現れたのは1990年代のこと。

報告されているMarmorkrebsはすべてメスで、それらのメスは交尾なしで何百もの卵を生み出す。そして、「Marmorkrebsが生み出す子どもは母親のクローンである」ということが2003年に判明しました。1匹のザリガニが1年後には数百匹にまで増加します。あまりに数が増えすぎて手に負えなくなった飼い主が湖や川に放流したため、25年前には存在すらしなかった種が、2018年現在ではドイツ・チェコ・ハンガリー・日本・クロアチア・マダガスカルなど世界中に広まる状況となっています。Marmorkrebsは1つの地域で数が増えすぎると、何百メートルも空気中を歩いて新しいすみかとなる湖や川を探すのです。

ドイツがん研究センターのLyko氏らの研究チームは、MarmorkrebsのDNAシークエンシングを行い、その結果をNature Ecology & Evolutionに発表しました。

研究チームによると、Marmorkrebsはアメリカに生息するヌマザリガニが突然変異した結果生まれたものだとのこと。おそらく、約30年前、染色体を2セット持つもつ変異個体が通常の個体と交尾した結果、生まれた子どもが3倍体の染色体を持ち、オスがいなくても無性生殖による繁殖ができる体になったとのこと。


元論文のタイトルは、”Clonal genome evolution and rapid invasive spread of the marbled crayfish”です(論文をみる)。

元記事によると、原種の住むアメリカにはMarmorkrebsは発見されないことから、この新しいザリガニは、ドイツのペット愛好家が作り出したと考えられているようです。また、原種のオスとこの新種のメスが交尾しても子孫ができないそうです。

マダガスカルには2007年に持ち込まれ、驚異的なスピードで増えた結果、10年で100万を超え、在来種を脅かしているそうです。日本でも2015年と2016年に松山の重信川で採集されたという報告がある(記事をみる)ので、既に定着している可能性があります。

クローン化した生物はこの他にも多く、植物ではサクラのソメイヨシノ、脊椎動物ではギンブナなどがあります(記事をみる)。哺乳動物ではまだ人工的に作出されたものだけですよね?

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