「文春」「AERA」の「ホルモン漬け輸入牛肉が乳がんを増やす」は科学的根拠があるのか?
以下は、記事の抜粋です。
成長を促すために「ホルモン剤」を使った米国やオーストラリアの牛肉の話題が、週刊誌やネットニュースで取り上げられている。「“ホルモン漬け牛肉”のせいで日本で乳がんが増えた」「日本は外圧でホルモン剤を使った牛肉を輸入せざるをえないのだ」といった調子で、不安に思っている人も少なくないだろう。しかし、実際はどうなのだろうか。
文春オンラインは「ホルモン漬けアメリカ産牛肉が乳がん、前立腺がんを引き起こすリスク」(2017年11月16日付)という記事を掲載。17年6月に亡くなった小林麻央さんを引き合いに出しながら「日本人に乳がんなどホルモン依存性がんが増えたのは、米国からの輸入牛肉が増えたことが一因。なぜなら米国産牛肉は“ホルモン漬け”だから」としている。
「AERA」(14年5月発売号)にも同じ内容の記事が載ったことがある。が、いずれも
(1)EUが1988年に家畜への使用を禁止したホルモン剤が、米国では依然使われている(2)その米国産牛肉を日本が輸入し続けている
という2点を問題視している。果たしてそうなのだろうか。
EUによる輸入禁止を巡る米国との対立は「ホルモン牛肉紛争」と呼ばれ、98年のWTO(世界貿易機関)裁定でEUは負けている。ホルモン剤の使用が人の健康に悪影響を与えることの、科学的根拠を示せなかったからだ。
まことしやかに語られるのが「EUでは89年に肥育ホルモン剤使用牛肉の輸入禁止後、乳がん死亡率が大きく下がった」という説だ。しかし、WHOによると、乳がん死亡率は欧米で90年代をピークに減少しており、肥育ホルモン剤を使っている米国でもEU同様に下がっている。
牛肉の消費量が多い米国で乳がん死亡率が下がっているのだから、牛肉へのホルモン剤使用と乳がん死亡率に因果関係はない、と考えるのが妥当ではないか。
上の写真のようなサシ(脂肪)が入った牛肉は「ホルモン剤」を使うとできないという説明が記事にありました。実際、日本ではサシの入った牛肉を作るために、餌からビタミンAを除き、対光反射が遅れるぐらいに牛をビタミンA欠乏症にすることで、筋肉に分化するはずの細胞が脂肪に分化した「霜降り肉」を持つように育てられています。ホルモン剤は使われていませんが、極めて人工的に作られた「ホルモン欠乏症」の和牛の肉が「霜降り肉」です。
これまで何度も書いてきましたが、関連記事に書いたように、遺伝子組換え作物に発がん性があるとする説にも科学的根拠はありません。「フェイクニュース」です。
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