炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇。ランセット(Lancet)論文。
衝撃的な論文の適切な解説ブログがあったので紹介します。以下は、記事の抜粋です。
『炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇』という衝撃的な内容の論文が、ランセット誌に掲載されました。
1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連。
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していない。
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。
1)2)3)4)が、今回、ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)に掲載された論文で確認されたということであり、画期的な内容と思います。
「今回の結果を踏まえ、世界的な食事ガイドラインを再検討すべきである」と著者は提言しているのですが、当然と思います。糖質制限食賛成派にとっては、これ以上ない追い風です。
◇18ヵ国の13万5千例以上を約7年半追跡
研究グループは、2003年1月1日~2013年3月31日に、高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区、ポーランド、南アフリカ、トルコ)、低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)の計18の国・地域において、35~70歳の13万5,335例を登録し、食事摂取量を食事摂取頻度調査票により調査した後、中央値7.4年追跡した。
◇全死亡リスクは、炭水化物の摂取量が多いほど増加、逆に脂質では低下
追跡期間中に、死亡が5,796例、主要心血管イベントの発生が4,784例記録された。炭水化物は、摂取量が多いほど全死亡リスクが高く、最低5分位群(エネルギー比中央値46.4%)に対する最高5分位群(同77.2%)のHRは1.28(95%信頼区間[CI]:1.12~1.46、傾向のp=0.0001)であった。CVDまたはCVD死のリスクとの関連は確認されなかった。
一方、脂質は総脂質および種類別のいずれも、摂取量が多いほど全死亡リスクは低かった。最低5分位群に対する最高5分位群のHRは、総脂質が0.77(95%CI:0.67~0.87、傾向のp<0.0001)、飽和脂肪酸は0.86(95%CI:0.76~0.99、傾向のp=0.0088)、一価不飽和脂肪酸は0.81(95%CI:0.71~0.92、傾向のp<0.0001)、多価不飽和脂肪酸は0.80(95%CI:0.71~0.89、傾向のp<0.0001))であった。
また、飽和脂肪酸は、摂取量が多いほど脳卒中のリスクが低い関連が認められた(最高5分位群 vs.最低5分位群のHR:0.79、95%CI:0.64~0.98、傾向のp=0.0498)。総脂質、飽和および不飽和脂肪酸の摂取量は、心筋梗塞またはCVD死のリスクと有意な関連はみられなかった。
著者は、トランス脂肪酸の摂取量は未測定であることなどを研究の限界として挙げている。
元論文のタイトルは、”Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study”です(論文をみる)。
論文で体に良いとされる飽和脂肪酸は動物性脂肪に多く含まれています。特にバターや牛脂、ラードなどの調理用油には多く含まれています。バターは重量の約半分が飽和脂肪酸、牛脂やラードは40%、生クリームやチーズ類は15~25%、マーガリンは約22%、ショートニングは約34%の飽和脂肪酸が含まれています(サイトをみる)。これまで「健康のために」摂取が避けられてきたような食品ばかりです。今後は、低脂肪乳はやめて無調整乳にしようかなぁ。
上の記事を読んで、糖質制限ダイエットが良いと思って炭水化物の代わりにタンパク質を過剰に摂取すると、腎臓に負担がかかります。腎機能が落ちてきている高齢者などは絶対にやめてください。炭水化物を減らした分は脂肪を摂りましょう。
コメント
「炭水化物を減らした分は脂肪を摂りましょう」
あれっ?…ていう話でしたね。実は、私事でアレですが、私の原家族は「西洋かぶれ」なので、動物性脂肪を避けていませんでした。某女子校に進学して、我が家の食事は、家庭科の授業にて脂質が多すぎると家庭科教師から批判され、同級生からは「そんな高カロリーの食事をしていて何故、痩せているの?」と不思議がられました。家に帰ってから、その話をしたところ、食生活改善をしようということになり、私は1単位80キロカロリーで食品を片っ端から記憶して、家族の誰も糖尿病ではないけれど、栄養バランス、カロリーを計算しながら調理と食事をするようになりました。当時15歳で、それから出産、授乳、その後も、そういう暮らしをしていました。途中、配偶者が加害者型PTSDにスイッチした後も、配偶者には「ムズムズ足」のような症状が出たので、本人と相談して「栄養療法」を試みました。その際、兄はミネラルは十分に摂れていて、配偶者は鉄分が足りない傾向だったので、配偶者本人の希望により、配偶者にだけ赤米など鉄分が多い食事にして、一緒に食事するメンバー各人のニーズに応えるため、炊飯だけで(多いときは)3種類になりました。料理の味付けも、砂糖抜きで味醂だけの人、味醂も使わず海の塩味だけの人…私の母は一人だけ砂糖を入れる派で、卵焼きも毎回、3種類。配偶者が添加物に注意せよという点に私も同感だったので、生協に入り、某女子校の同窓生にも勧めたら「アカ」扱いになりました。彼女にとっては、生協=「アカ」だったのですね。そこの生協では、今は利益相反で有名になった市川宏伸医師の本を売っていて、私も買いました。よく書けていたので、皆、騙されたのだと思います。私は、愚息本人の意見を聞きながら、複数の仮説が立てられていることは、普通のことだと説明し、もし、神田橋らの仮説が正しいとしたら何が問題だろう?…と訊ねました。最終的には、神田橋らの仮説はデタラメ=PTSD否認にしかなっていないことが明確になり、私は「アングロサクソンの妄想性障害」という表現を使うことにしました。そして、PTSD否認=レイシズムに過ぎませんので、人類史レベルで、やめさせないとなりません。