よくわからないブルーギル駆逐計画の記事

不妊化させたオス放流、外来魚根絶へ 水産研などが計画

以下は、記事の抜粋です。


「ゲノム編集」という新技術を使って不妊にした外来魚・ブルーギルを琵琶湖などに放流し、仲間を根絶させるプロジェクトを、水産研究・教育機構や三重大のグループが進めている。外来魚を駆除する新しい試みで、3年後をめどに人工池で実験を始める計画だ。

研究グループが進めているのは、卵を作るために必要な遺伝子をゲノム編集によって壊し、メスが不妊化する遺伝子変異を持つオスを大量に繰り返し放流する方法。このオスと野生のメスが交配して生まれたメスは卵を産めず、最後の1匹まで駆除できると期待されている。

米国の湖のデータを元にした試算では、当初の生息数の10%弱を毎年放流、捕獲と組み合わせれば、琵琶湖などでも数十年で根絶できる可能性があるという。


現在日本全国で繁殖し、固有の淡水魚類を絶滅の危機に追い込んでいる悪名高い外来魚「ブルーギル」はすべて、今の天皇陛下が皇太子時代の1966年に、静岡県伊東市の一碧湖に放流した魚の子孫であることが科学的に証明されています(関連記事をみる)。

環境省のホームページの「ホーム > 環境研究総合推進費 > 実施課題一覧 > 現在実施中の研究一覧」というサイトの「平成28年度 研究実施課題一覧表」に「4-1408 遺伝子編集技術を用いた不妊化魚による外来魚の根絶を目的とした遺伝子制圧技術の基盤開発 岡本 裕之」という研究課題がありました(サイトをみる)。

以下は、その概要と中間評価のPdfです。

概要

中間評価

上の「概要」には朝日の記事に書かれていることとほぼ同じことが詳しく書かれています。また、「中間評価」の「委員の指摘及び提言概要」には以下のように書かれています(下線はブルグ著者による)。


技術的には期待できるが、技術開発に 10 年以上もかかる点から先が長い研究である。実用化に向 けて集団構造を早く明らかにし、法的認可の獲得や合意形成に向けた努力を進めてほしい。しかしな がら、不認可遺伝子が確実に発現可能なのか説明不足であり、また技術的に可能であっても野外での 実施には在来群集への影響や法的制約など ELSI の視点からの検討が必要であろう


評価委員の総合評点はBでした。どうでもいいですが、この委員の漢字も間違ったまま掲載されています(不認可→不妊化)。お忙しい方のようです。

朝日の記事にある「3年後をめどに人工池で実験を始める計画」とはどんな計画なのでしょう?朝日の記者がなぜ評価委員の見解と異なる3年という数字を書いているのかもわかりません。また、まだ実現の可能性もあまり見えないような計画を、わざわざ記事にする理由もよくわかりません。

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