南京大虐殺、世界記憶遺産に登録
以下は、記事の抜粋です。
ユネスコは10月10日、旧日本軍による南京大虐殺に関する資料を世界記憶遺産に登録したと発表した。中国が登録を申請した。
中国が「旧日本軍の犯罪」の記録と主張する歴史資料がユネスコによって「世界的に重要」と認定されたことになり、習近平指導部は今後、歴史問題をめぐる対日攻勢を一層強めそうだ。
中国は「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」と位置付ける今年の登録を目指し、昨年申請した。日本政府は「ユネスコの場を政治的に利用している」と批判し、中国に抗議。申請の取り下げを求めたが、中国は拒否していた。
この記事はロイターによるものなので中立的ですが、日本のメディアは、「日本と中国では南京大虐殺の犠牲者数などで見解が分かれており、記憶遺産への登録は中国の歴史認識にユネスコの『お墨付き』を与えかねない。(毎日新聞)」など、中国の一方的な主張をユネスコが認めたという報道をしています。
また、日本政府の川村外務報道官は、(1)南京事件をめぐっては日中間で見解の相違がある(2)中国の一方的主張に基づく申請で、資料の真正性に問題がある-と指摘。「重要なユネスコの事業が政治利用されることがないよう、本件事業の制度改革を求めていく」という談話を発表し、「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ」と批判したそうです。
事件があった1937年には、当時の中華民国の首都だった南京に日本軍が侵攻し、激戦の末に占領しました。南京陥落を祝って、東京では40万人の提灯行列が行われたそうです。現在の南京市の人口は2000年時点で362万人ですが、「当時の南京の人口は20万以下だったから、30万人も死んだはずがない」というヒトもいます。
当時の南京の人口や日本軍の侵攻による死者の数については議論があるとしても、日本軍が中国に侵攻したことによる中国人全体の死者数が1000万以上であること、しかもその大半が軍人ではない民間人であることは否定できない事実です。
第二次世界大戦では約300万人の日本人が亡くなりました。その多くは軍人でした。日本で地上戦の戦場になったのは沖縄だけですが、中国、インドネシア、フィリピンなどでは、日本軍の侵攻により、そのほぼ全土が戦場になりました。インドネシアとフィリピンでは、それぞれ約300万人と約50万人が亡くなっています。どちらも死者の大半は民間人です(関連記事をみる)。
1930年代と40年代に日本がアジアで行った事実を記憶するためにも、その正確な数は別として「南京大虐殺」が世界記憶遺産に登録されたのは良かったと思います。日本人が、多数の犠牲を伴うはずの外国の都市の陥落を提灯行列で祝うようなことはもうないでしょう。
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