10代へのHPVワクチン接種により子宮頸がんリスクの高いウイルスへの感染率が激減して1%未満になった
以下は、記事の抜粋です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は多くの女性が生涯に一度は感染する一般的なウイルスですが、子宮頸がんをはじめとする病気の発生に関連しています。そんなHPVへの感染を予防するHPVワクチンを10代の女性に接種することで、その後の危険なウイルス感染率が激減したとの研究結果が報告されています。
Eurosurveillance | Human papillomavirus prevalence in first, second and third cervical cell samples from women HPV-vaccinated as girls, Denmark, 2017 to 2024: data from the Trial23 cohort study
HPVには100種類以上もの型がありますが、そのうち少なくとも14種は子宮頸がんを引き起こす可能性がある「高リスク型」と考えられています。日本でも年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、約2800人が亡くなっています。なお、子宮頸がんの95%以上はHPVに感染したことが原因です。
デンマークでは、2008年から14歳の少女に対して4種類のHPV感染リスクを減らす4価HPVワクチン接種が行われ、2017年からは計9種類のHPVを対象にした9価HPVワクチン接種が開始されています。そこでデンマークの研究チームは、10代の頃にHPVワクチンの接種を受けた女性の子宮頸部の細胞サンプルを分析し、HPVへの感染率を調べる研究を行いました。
被験者は、2017~2024年にかけてデンマークの子宮頸がん検診で子宮頸部の細胞サンプルを採取された22~30歳の女性でした。研究チームは合計8659人の女性を対象に細胞サンプルの分析を行い、ワクチン接種を受けた女性と接種を受けていない女性のHPVの感染率や感染持続期間などを比較しました。
10代の少女へのHPVワクチン接種が始まる前、デンマークの子宮頸がん患者の約74%に「16型」または「18型」のHPVが見つかっており、全体では15~17%の女性がこれらのHPV型に感染していました。「16型」と「18型」はいずれも、2008年から接種が始まった4価HPVワクチンでカバーされています。
HPVワクチン接種を受けた女性の子宮頸部の細胞サンプルを分析した結果、2021年の時点では「16型」および「18型」に感染している女性は1%未満となり、ほぼ根絶状態になっていることが判明。また、HPVワクチン接種を受けていない女性の感染率も5%程度にとどまり、これは集団免疫が獲得されたことを示唆しています。
一方で、被験者の約3分の1はHPVワクチンでカバーされていない高リスク型のHPVに感染していました。また、これらのHPV型への新規感染は、HPVワクチン接種を受けた女性の方が受けていない女性よりも多かったとのことです。
HPVは、男性に多い中咽頭がんの原因になることが知られており、男性にとっても決して無関係ではないウイルスです。関連記事で紹介しましたが、HPVワクチンは子宮頸がんの発生率を90%減少させることが示されており、世界には大規模なワクチン接種プログラムにより撲滅が目前になっている国もありますが、残念ながら日本は反ワクチン運動がメディアも含めて盛んだったためか、撲滅からははど遠い状況です。

関連記事
HPVワクチンが「子宮頸がん」予防にどれだけ効果的がわかるデータが公開される、「日本のメディア」名指し批判も

コメント