閉経年齢に関係する13の遺伝子座を同定

閉経年齢に関係する13の遺伝子座を同定

以下は、記事の抜粋です。


女性の閉経開始年齢に関連する新しい遺伝的要因が特定された。閉経開始時期に影響を及ぼす免疫機能およびDNA修復に関係する13の遺伝子座(loci)が同定され、さらに以前に認められた4つの遺伝子座も確認されたという。

大多数の女性は50歳代前半に閉経する。閉経開始年齢を検討したこれまでの研究のほとんどでは、エストロゲン産生経路または血管の成分に関連する遺伝子に注目していた。Nature Geneticsオンライン版に1月22日掲載された今回の研究は、ボストン大学教授のKathryn Lunetta氏らによるもの。

同氏らは「今回の知見は、閉経年齢の調節におけるDNA修復と免疫機能を調節する遺伝子、ならびに卵巣機能の神経内分泌経路に影響を及ぼす遺伝子の役割を示すものであり、加齢のプロセスが身体と生殖細胞系の加齢の両方に関与していることが示された」と述べている。

Lunetta氏は「今回の知見により、閉経時期の遺伝的基盤の解明に近づき、早期閉経や受胎能低下の遺伝的基盤の手がかりも得られた可能性がある。閉経に関係するバリアントの生物学的影響をさらに解明することで、閉経および心血管疾患、乳がん、骨粗鬆症、その他の加齢に関係する特性とのつながりに新たな洞察が得られ、これらの疾患の予防および治療につながることが期待される」と述べている。


元論文のタイトルは、”Meta-analyses identify 13 loci associated with age at menopause and highlight DNA repair and immune pathways”です(論文をみる)。

研究者らは、過去に行なわれた22のゲノムワイド研究におけるヨーロッパ系女性38,968人のデータをメタ解析しました。45歳未満で閉経する者を早いとし、54歳以上で閉経する者を遅いとして解析したそうです。

閉経とはヒト卵巣の生殖機能の終わりを意味しています。この時期はエストロゲンとプロゲステロンの分泌低下というホルモン環境の大きな変化によって特徴付けられています。また、閉経は心血管疾患、乳がん、骨粗鬆症などの年齢と関連する疾患と関連しています。年齢とともに卵胞が失われるだけではなく、卵子の質が低下します。これは減数分裂機能の低下やDNAダメージの蓄積によると思われますが、遺伝学的な証拠はこれまでありませんでした。

同定された遺伝子在の中で、EXO1HELQUIMC1FAM175AFANCITLK1POLGPRIM1の8つは、DNAダメージ修復と複製に関与したものでした。また、IL11NLRP11PRRC2A (別名BAT2)の3つは、自己免疫疾患関連遺伝子です。これまでも、卵巣機能不全と1型糖尿病の関連が知られていたので、自己免疫によって卵巣機能低下がおこることはリーズナブルだと思われます。

閉経時期の遅いヒトは長生きとかいうデータはあるのでしょうか?

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