アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用は、アルツハイマー病の発症率を低下させる

降圧薬使用とアルツハイマー病との関連~メタ解析
以下は、記事の抜粋です。


高血圧は認知症のリスク因子として知られている。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのM. Adesuyan氏らは、認知機能が正常な高血圧症の成人患者における降圧薬使用とアルツハイマー病発症率との関連を調査した。

その結果、降圧薬の使用とアルツハイマー病発症率低下との関連が認められた。とくに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、降圧薬の中でも最大のベネフィットをもたらす可能性が示唆された。著者らは、降圧が認知機能保護の唯一のメカニズムではない可能性があり、認知機能に対するアンジオテンシンIIの影響についてさらなる調査が求められるとしている。

2022年2月18日までに公表された文献を、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。対象は、認知機能が正常な40歳以上の高血圧患者。2つのメタ解析(降圧薬未使用患者との比較研究、降圧薬の比較研究)を個別に行い、調整済み相対リスク(RR)をプールした。

主な結果は以下のとおり。

・9件の研究(152万7,410例)をメタ解析に含めた。
・降圧薬未使用患者との比較研究におけるメタ解析では、降圧薬使用はアルツハイマー病発症リスク低下と関連していることが示唆された(RR:0.94、95%CI:0.90~0.99、p=0.01)。
・降圧薬の比較研究におけるメタ解析では、ARB使用患者は、他の降圧薬使用患者と比較し、アルツハイマー病のリスク低下との関連が認められた(RR:0.78、95%CI:0.68~0.88、p<0.001)。


元論文のタイトルは、”Antihypertensive Agents and Incident Alzheimer’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies(降圧剤とアルツハイマー病の発症。観察研究のシステマティックレビューとメタアナリシス)”です(論文をみる)。

ARBが他の降圧薬と比べても2割以上低下させるというのはすごいです。ACE阻害薬はどうかと思ってをみたら、それほどでもありませんでした。観察研究の限界かもしれません。いずれにしても、高血圧を放置するとアルツハイマーになりやすいので、認知症になるのを遅らせたいなら降圧薬を飲んだ方が良さそうです。

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