胃酸を抑える薬の服用でおならが増える

おならが増えて困っているという相談を受けて、空気の飲み込みすぎ(呑気症)やサツマイモなど、食物繊維が豊富な食品は腸内細菌によって分解される際に多くのガスを発生させるなどの説明をしました。

逆流性食道炎や消化性潰瘍に用いられる胃酸を低下させる薬がおならを増やすという話を聞いたので、「胃酸を抑える薬の服用でおならが増えるという論文を教えて」という質問をGeminiに聞いてみました。


胃酸を抑える薬(主にPPI:プロトンポンプ阻害薬など)を服用することで、おなら(ガス)が増えたり、お腹が張ったり(腹部膨満感)するという現象は、医学的にもいくつかの論文で報告されています。

代表的な研究論文とその内容、およびそのメカニズムについて分かりやすくまとめました。


1. 代表的な研究論文

① 腸症状の新規発症に関する研究(2019年)

  • 論文名: Bowel symptoms in patients that receive proton pump inhibitors(プロトンポンプ阻害薬を服用している患者の腸症状)

  • 内容: PPIを服用している患者を対象とした多施設研究です。薬を服用している人の多くに腸の症状(お腹の張り、おなら、腹痛など)が見られ、それらの症状の約44%は、薬を飲み始めてから新しく発生したものであったと報告されています。

② 小腸内細菌異常増殖(SIBO)との関連(2010年など)

  • 論文名: Proton Pump Inhibitors, Irritable Bowel Syndrome, and Small Intestinal Bacterial Overgrowth(プロトンポンプ阻害薬、過敏性腸症候群、および小腸内細菌異常増殖)

  • 内容: 胃酸を抑える薬を長期間飲んでいる人は、そうでない人に比べてSIBO(小腸内細菌異常増殖症)を合併するリスクが高まることが示されています。この研究では、PPI服用者の約50%にSIBOの兆候が見られ、これが過剰なガス産生やお腹の張りの直接的な原因になっていると指摘されています。


2. なぜ胃酸を抑えるとおならが増えるのか?

理由は大きく分けて2つあります。

殺菌システムの低下(SIBOの誘発)

胃酸には、食べ物と一緒に体内に入ってくる「菌」を死滅させる強力な殺菌作用があります。薬で胃酸を抑え続けると、このバリアが弱まり、本来なら死滅するはずの菌が生きたまま腸へ送り込まれます。その結果、普段は菌が少ないはずの「小腸」で細菌が爆発的に増えてしまい(SIBO)、その菌たちが食べ物を分解する際に大量のガス(おならの原因)を発生させます。

消化不良による発酵

胃酸はタンパク質などの消化を助ける役割も持っています。胃酸が減ることで消化スピードが落ち、十分に分解されなかった食物が未消化のまま大腸に届くと、腸内細菌の絶好のエサになります。これが腸内で異常発酵を起こし、ガスが大量に発生しやすくなります。

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