目標LDL-C値は55mg/dL未満が70mg/dL未満よりも、3年時点の心血管イベントリスクの低下に結び付いた

心血管疾患2次予防、目標LDL-C値55mg/dL未満でリスク低下
自分へのメモですが、すごい目標値です。以下は、記事の抜粋です。


動脈硬化性心血管疾患患者において、目標LDL-C値は55mg/dL未満が70mg/dL未満よりも、3年時点の心血管イベントリスクの低下に結び付いたことを、韓国・延世大学校医科大学のYong-Joon Lee氏らが行った非盲検無作為化優越性試験の結果で報告した。

ガイドラインでは動脈硬化性心血管疾患患者におけるLDL-C値低下を推奨しているが、これらの患者の2次予防のための適切な目標LDL-C値について評価した無作為化試験からのエビデンスは限定的なままであった。

研究グループは、19~80歳の動脈硬化性心血管疾患患者(次のいずれか1つ以上の既往または現有で定義:急性冠症候群[心筋梗塞または不安定狭心症]既往、画像検査または機能検査で確認された安定狭心症、冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術、脳卒中または一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患あり)を、目標LDL-C値を55mg/dL(1.4mmol/L)未満とする群(強化群)または70mg/dL(1.8mmol/L)未満とする群(従来群)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。

主要エンドポイントは、3年時点の心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、あらゆる血行再建術、または不安定狭心症による入院の複合であった。安全性も評価した。

イベントの累積発生率は強化群6.6%、従来群9.7%で有意な差
2021年1月~2022年7月に韓国17施設で3,048例が無作為化された(強化群1,526例、従来群1,522例)。追跡期間中央値は3.0年。試験期間中のLDL-C中央値は、強化群56mg/dL、従来群66mg/dLであった。

主要エンドポイントのイベント発生は、強化群100例(累積発生率6.6%)、従来群147例(9.7%)であった(ハザード比:0.67、p=0.002)。


元論文のタイトルは、”Intensive LDL Cholesterol Targeting in Atherosclerotic Cardiovascular Disease(アテローム性動脈硬化性心血管疾患におけるLDLコレステロールの集中的な管理)です(論文をみる)。

厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人男性のLDLコレステロール値の分布は以下の通りとなっており、大部分の人が100mg/dL以上の範囲に含まれます。

日本人男性(20歳以上)のLDLコレステロール値分布
100mg/dL未満: 約20.1%
100mg/dL以上: 約79.9%
100〜119mg/dL:約21.6%
120〜139mg/dL:約21.5%
140〜159mg/dL:約18.0%
160mg/dL以上:約18.9%

日本人女性(20歳以上)のLDLコレステロール値分布
100mg/dL未満: 約25.1%
100mg/dL以上: 約74.9%
100〜119mg/dL:約20.1%
120〜139mg/dL:約21.2%
140〜159mg/dL:約16.0%
160mg/dL以上:約17.6%

また、女性はライフステージによって数値が大きく変わります。閉経前は 多くの人が100mg/dL未満、あるいは低めの数値に収まります。これは女性ホルモン(エストロゲン)がLDLを分解し、血管を守る働きをしているためです。しかし、閉経後、エストロゲンが急減すると、LDL値が急上昇します。50代以降では、約9割近くの女性が100mg/dLを超え、男性よりも高数値になりやすい傾向があります。

この報告をみて「ポリピル(Polypill)」構想を思い出しました。これは、2003年にイギリスの医学誌 BMJ で発表された有名な提案です(記事をみる)。即ち、 スタチン、血圧降下薬、アスピリンなどを1錠にまとめた「ポリピル」を、55歳以上の全員に処方すべきという主張です。これで、検査結果にかかわらず、加齢による心血管疾患リスクをまとめて下げることで、心筋梗塞や脳卒中を80%減らせると推計されました。もちろん、 「医療の過剰介入だ」「不健康な生活を助長する」といった反論が出て実施には至っていません。

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