数学研究におけるAI革命が到来、数学者たちは「これはまだ始まりに過ぎない」と考えている
以下は、記事の抜粋です。
2025年の7月、Googleが開発するAI「Gemini Deep Think」の強化版をはじめとする複数のAIが、世界最高峰の高校生が競う国際数学オリンピックで出題される問題に挑戦し、6問中5問を完璧に解くことに成功しました。これは人間であれば数学オリンピックで金メダルを獲得できるレベルであり、多くの数学者がAIに注目するようになりました。
AI開発企業や一部の数学者はそれ以前からAIを使って数学的問題を解決することに取り組んできました。Google DeepMindは2018年からAIを使って数学の問題を解こうとしてきました。
チューリッヒ連邦工科大学のヨハネス・シュミット氏は、AIとの会話は研究において有益なものだと語っています。シュミット氏はAIがたくさんの間違いやデタラメを話すと認めつつも、「この会話から何か得るものはあるはずです。すべてのアイデアが良いとは言えませんが、悪いものは無視して良いものだけを取り入れればいいのです」と話しました。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアーネスト・リュウ氏は、主に最適化理論と呼ばれる応用数学の分野で研究を行っています。AIが数学オリンピックの問題を解いたという発表を受けて実際に使い始めたところ、リュウ氏はAIの数学能力が以前より大幅に向上していることに気が付いたとのこと。
リュウ氏は2025年10月のある日、過去に何度か試みたことのある最適化理論の未解決問題に、ChatGPTを用いて取り組み始めました。1983年にロシアの数学者ユーリー・ネステロフ氏によって提唱されたこの問題についてChatGPTに尋ねると、間違った証明ばかりが返ってきたとのこと。しかし、その誤りに至るまでの過程には興味深いステップもあり、部分的には潜在的に有用だと思われる箇所もあったそうです。リュウ氏は検証者としてChatGPTの回答を調べ、正しい部分だけを残してフィードバックし続けた結果、3日後には簡略的な証明にたどり着きました。
リュウ氏は、「これはChatGPTの活用によって発見が本当に加速した具体的な事例です」と述べています。
AIはさまざまな数学研究を加速させると期待されている一方で、数学を学んでいる学生の教育方法に悪影響が及ぶ可能性も指摘されています。
ノートルダム大学のジョエル・デイヴィッド・ハムキンス氏は、学生が提出する課題のかなりの割合がAIによって生成されていることから、宿題を出すのを諦めてしまったとのこと。すべてを授業内の小テストなどで完結させなくてはいけない状況は、学術界全体の問題だと指摘しました。別の一流大学に所属する数学者も、「AIは真剣な数学研究者の進歩を加速させる一方で、より多くの数学研究者を育成することを阻害するという深刻なリスクがあります」と述べています。
数学の宿題をAIにさせる時に、自分でも考えながらAIと対話するように指導すれば、数学研究者の育成にも役に立つのではと思いました。


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