ヘルペス(帯状疱疹)のワクチンでアルツハイマー病のリスクは減るけれども、抗ヘルペス薬ではアルツハイマー病の進行は止められないみたいです

ヘルペス陽性早期アルツハイマー病、バラシクロビルは有効か?
以下は、記事の抜粋です。


単純ヘルペスウイルス(HSV)がアルツハイマー病(AD)の病態形成に関与する可能性が示唆されている。

D. P. Devanand氏らは、早期AD症状を有するHSV(HSV-1またはHSV-2)陽性の患者を対象に、HSVに有効な抗ウイルス薬であるバラシクロビルの臨床的ベネフィットを検討するプラセボ対照無作為化試験「VALAD試験」を実施。

主要アウトカムの認知機能の悪化に関して、バラシクロビルの有効性は示されなかったことを報告した。

VALAD試験は、臨床的にADが疑われると診断またはADバイオマーカーが陽性で軽度認知障害(MCI)と診断され、HSV-1またはHSV-2の血清抗体検査(IgGまたはIgM)が陽性、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが18~28の成人を対象とした。

試験は、米国の記憶障害に関する外来専門クリニック3施設で実施された。被験者募集は2018年1月~2022年5月に行われ、適格被験者はバラシクロビル4g/日投与群または適合プラセボ群に無作為に割り付けられ追跡評価を受けた。最終フォローアップは2024年9月であった。

主要アウトカムは、11項目のAlzheimer’s Disease Assessment Scale Cognitive(ADAS-Cognitive)サブスケールスコア(範囲:0~70、高スコアほど障害が重いことを示す)について、78週時点における最小二乗平均(LSM)変化量であった。

副次アウトカムは、(1)Alzheimer’s Disease Cooperative Study-Activities of Daily LivingスケールスコアのLSM変化量、(2)6つの脳領域(内側眼窩前頭皮質、前帯状皮質、頭頂葉、後帯状皮質、側頭葉、楔前部)に関するアミロイドPETの標準化集積比のLSM変化量、(3)4つの脳領域(扁桃体、海馬、嗅内野、海馬傍回)に関する、タウPETの側頭葉内側部SUVR(高スコアほどタウが高レベルであることを示す)のLSM変化量であった。

有害事象の発現頻度を安全性アウトカムとした。

120例が無作為化され(バラシクロビル群60例、プラセボ群60例)、うち93例が試験を完遂した。被験者120例は、平均年齢71.4歳、女性が55%、ADと診断された者が75%、MCIと診断された者が25%であった。人種別では白人が両群とも76.7%を占めている。

78週時点で、11項目のADAS-CognitiveサブスケールスコアのLSM変化量(主要アウトカム)は、バラシクロビル群10.86vs.プラセボ群6.92であり、バラシクロビル群がプラセボ群よりも認知機能の悪化が大きいことが示唆された。

副次アウトカムは、いずれも78週時点で、(1)ADCS-ADLスケールスコアのLSM変化量はバラシクロビル群-13.78vs.プラセボ群-10.16であり、(2)アミロイドPET SUVRのLSM変化量は0.03 vs.0.01であり、(3)タウPET側頭葉内側部SUVRのLSM変化量は0.07vs.-0.04であった。

最もよくみられた有害事象は、クレアチニン値上昇(バラシクロビル群5例[8.3%]vs.プラセボ群2例[3.3%])、COVID-19感染(3例[5.0%]vs.2例[3.3%])であった。


元論文のタイトルは、”Valacyclovir Treatment of Early Symptomatic Alzheimer Disease: The VALAD Randomized Clinical Trial(初期症状のアルツハイマー病に対するバラシクロビルの治療:VALAD ランダム化臨床試験)”です(論文をみる)。

症例数はそれほど多くありませんが、かなり厳密にデザインされた臨床試験ですので、結果はかなり信用できると思います。ヘルペスのワクチンでアルツハイマー病のリスクは減るけれども抗ヘルペス薬ではアルツハイマー病の進行は止められないということのようです。残念ながら、ネガティブデータは正しいことが多いです。

 

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