大腸がん予防、アスピリンの効果を調査 国立がんセンターなど
以下は、記事の抜粋です。
アスピリンに大腸がんの発症や、がんになる可能性の高い大腸ポリープの再発を予防する効果があるかを確かめる臨床研究を、国立がん研究センターや京都府立医大などのチームが30日までに始めた。
日本人約300人を対象にした同様の臨床研究で、ポリープの再発率が4割減少したとする研究成果が昨年2月に発表されており、今回は22施設の患者7千人で効果をより詳しく調べ、大腸がんの予防法確立を目指す。
研究は大腸がんになる恐れのあるポリープを切除した40~69歳が対象。「バイアスピリン」を4年間、毎日1錠(100mg)飲んでもらい、別の大腸がん臨床研究に参加し同薬を飲んでいなかった3千人のデータと、がん発症やポリープ再発率を比べる。
アスピリンは血栓を作りにくくする薬で市販薬とは有効成分が異なる。臓器の炎症を抑える作用が予防につながる可能性が指摘されているが、詳しい仕組みは不明。
アスピリンが心血管疾患の予防だけではなく、大腸がんの予防に有効であることはほぼ既知の事実です。
実際、AAFP(米国家庭医学会)が本年の9月16日に紹介した米国予防医学作業部会の勧告案では、心血管疾患と大腸癌の一次予防に低用量アスピリンの服用を推奨しています。ただ、推奨レベルは年齢によって異なり、出血リスクが低い50~59歳のヒトに対しは低用量アスピリン療法をグレードBで推奨していますが、高齢者は、出血リスクが高いため推奨レベルは低くなっています。
メカニズムについても、記事では全く不明のように書かれていますが、腸上皮細胞の増殖を促進するプロスタグランディンの産生をアスピリンが抑制することが主なメカニズムであることは分かっているはずです。
問題は、出血リスクとがん予防ベネフィットのバランスです。おそらく、調査の結果に関わらず、アメリカでの勧告案とほぼ同じものが日本でも出てくると思います。
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コメント
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「問題は、出血リスクとがん予防ベネフィットのバランス」
という点に同感です。実は、アスピリンのそういう使い方、私も生前の父と相談して、やっていた時期があります。何事もリスクとベネフィットの問題ですからね。
添付文書を熟読するとともに、手に入れられる限りの、あらゆる情報を入手して、その信憑性を自ら検討し、自分の人生を組み立てる必要があるわけです。
その際、添付文書が読めないようでは話になりませんし、添付文書に書いてあるから「真実」だと盲信するようでは科学リテラシーが低すぎますし、情報を集めれば集めるほど何が自分の判断に必要な情報であるかが分からなくなって擬似問題に絡め取られて変になっていくようではリテラシーが低すぎます。ところが…大学生も大卒も、そういう人が多数派なのです。それなら、大学に行かないほうが良いのでは? 現状では、借金が増えるだけですからねえ。
添付文書に書いてあるから「真実」だと盲信するようではダメだというのは、武田のダーゼンがそうでしたね。
http://ameblo.jp/kunotakayoshi/entry-10774017918.html
いつも、有益な記事、ありがとうございます。
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>あ*さん
いつもコメントありがとうございます。書く元気をもらっています。