ゾルピデムとBZDの使用が認知症リスク増加と関連〜メタ解析
以下は、記事の抜粋です。
ガンマアミノ酪酸(GABA)系は、認知機能や記憶プロセスに関連している。そして、GABAA受容体およびその他の関連経路の活動は、βアミロイドペプチド(Aβ)の蓄積に影響を及ぼす。
イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのKimia Vakili氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)、ゾルピデム、トリアゾラム、麻酔薬に焦点を当て、GABAA受容体に影響を及ぼす薬剤とアルツハイマー病および認知症リスクとの関連を明らかにするため、文献レビューおよびメタ解析を実施した。
主な内容は以下のとおり。
・19文献(ケースコントロール研究10件、コホート研究9件)、295万3,980例をメタ解析に含めた。
・GABA受容体作動薬の使用と認知症(リスク比[RR]:1.15)およびアルツハイマー病(RR:1.21)の発症との間に、統計学的に有意な関係が認められた。
・薬物ベースのサブグループでは、ゾルピデム使用とアルツハイマー病および認知症発症率の増加との関連が認められた(RR:1.28)。これは、BZD使用と同様であった(RR:1.11)。
・メタ回帰分析では、フォローアップ期間の範囲は研究全体で5〜11年であり、異質性と有意に関連していることが示唆された(p=0.036)。
著者らは「ゾルピデムおよびBZDの使用は、認知症およびアルツハイマー病のリスク増加と関連していることが示唆された」としている。
元論文のタイトルは、”Use of Drugs Affecting GABAA Receptors and the Risk of Developing Alzheimer’s Disease and Dementia: a Meta-Analysis and Literature Review(GABAA受容体に作用する薬剤の使用とアルツハイマー病および認知症の発症リスク:メタ分析と文献レビュー)”です(論文をみる)。
ゾルピデム(マイスリーⓇ)は「非ベンゾシアゼピン系」とは言うものの、エチゾラム(デパスⓇ)などのベンゾジアゼピン系薬物と同様に依存性があり、筋弛緩作用による転倒もあるので、連用は避けたい薬物ですが、眠るために止めたくないヒトが多く、医師が処方の中止を提案しても患者が受け入れないことが多いです。
今後は「認知症のリスクが3割近く増える!!」というのを使って中止を迫ってみたいと思います。
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