皮膚細胞が化合物で神経に 世界初
以下は、記事の抜粋です。
ヒトの皮膚の細胞を特定の化合物と一緒に培養することで神経の細胞に変化させることに成功したと京都府立医科大学のグループが発表しました。遺伝子を導入しないで細胞を変化させたのは、世界で初めてだということです。
この研究を行ったのは、京都府立医科大学の戴平講師のグループです。グループでは、ヒトの皮膚の細胞を特定の酵素の働きを阻害するものなど合わせて6種類の化合物と一緒に培養しました。
その結果、3週間ほどで皮膚の細胞の80%以上を神経の細胞に変化させることに成功したということです。遺伝子を入れることなしに皮膚の細胞をほかの細胞に変化させたのは、世界で初めてだということで、グループでは医療に応用するうえでがん化のリスクが少ないのがメリットだとしています。
戴講師は「今後、動物実験などを行って安全性などを確かめ、できるだけ早く病気の治療に応用したい」と話しています。
元論文のタイトルは、”Highly efficient direct conversion of human fibroblasts to neuronal cells by chemical compounds”です。フルテキストが読めます(論文をみる)。
DSファーマバイオメディカルという大阪の会社からヒト皮膚繊維芽細胞(カタログ番号:BBDFF)を購入し、それに、SB-431542(TGF-β1型受容体:ALK5阻害薬、2μM)、LDN-193189(BMP1型受容体:ALK2とALK3の阻害薬、1μM)、CHIR-99021(GSK-3阻害薬、1μM)、PD0325901(MEK or MAPKK阻害薬)、Pifithrin-α(p53阻害薬、5μM)、Forskolin(アデニル酸シクラーゼ活性化薬、7.5μM)という6つの試薬を加えると、3週間後にこれらの細胞はβIIIチューブリン、小胞性グルタミン酸トランスポーターI(VGLUT1)、GABA、チロシン水酸化酵素などに対する抗体で染色されるようになったという話です。
発現したタンパク質しか調べていないので、本当に神経細胞に分化したのか?というあたりで有名雑誌にはrejectされて、この日本酸化ストレス学会が発行する英文雑誌に落ち着いたのではないかと思います。
コメント
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移植に必要な細胞が作れれば良いので、
こういう研究こそ臨床での実用には大事でしょう。
大型予算でド~ンというビッグ・プロジェクト狙いよりも、こういう研究をする人を育てたほうがよいと思います。