ED薬・タダラフィルやシルデナフィルと死亡、心血管疾患、認知症の減少が関連
以下は、記事の抜粋です。
勃起不全(ED)薬としてよく知られるタダラフィルやシルデナフィル使用と死亡、心血管疾患、認知症の減少との関連がテキサス大学医学部(UTMB)のチームの研究で示されました。
タダラフィルとシルデナフィルはどちらもPDE5阻害薬であり、血流改善・血圧低下・内皮機能向上・抗炎症作用により心血管の調子をよくすると考えられています。それら成分は肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療にも使われ、タダラフィルは前立腺肥大症に伴う下部尿路症状の治療薬としても発売されています。
UTMBのDietrich Jehle氏らの今回の研究は世界中の2億7,500万例超の臨床情報を集めるTriNetXに収載の米国男性5千万例から、ED診断後のタダラフィルかシルデナフィル処方、または下部尿路症状診断後のタダラフィル処方があった40歳以上の男性が同定されました。
3年間の経過を比較したところ、タダラフィルかシルデナフィルが処方されたED患者は、非処方患者に比べて死亡、心血管疾患、認知症の発生率が低いことが示されました。
具体的には50万例強の解析で以下のような結果が得られており、血中でより長く活性を保つタダラフィルがシルデナフィルに比べて一枚上手でした。
全死亡率
タダラフィルは34%低下、シルデナフィルは24%低下
心臓発作発生率
タダラフィルは27%低下、シルデナフィルは17%低下
脳卒中発生率
タダラフィルは34%低下、シルデナフィルは22%低下
静脈血栓塞栓症(VTE)発生率
タダラフィルは21%低下、シルデナフィルは20%低下
認知症発生率
タダラフィルは32%低下、シルデナフィルは25%低下
下部尿路症状患者のタダラフィル使用は一層有益でした。40歳以上の下部尿路症状患者100万例超のうち、タダラフィル使用群の死亡、心臓発作、脳卒中、VTE、認知症の発生率はそれぞれ56%、37%、35%、32%、55%低くて済んでいました。
タダラフィルと心血管転帰の発生率低下の関連は用量依存的らしく、同剤の使用量が上位4分の1の患者は心血管転帰の発生率が最小でした。有望ですがあくまでもレトロスペクティブ試験の結果であり、次の課題として男性と女性の両方でのプラセボ対照無作為化試験が必要だとされています。
元論文のタイトルは、「タダラフィルとシルデナフィルの死亡率、心血管疾患、認知症に対する有益性」です(論文をみる)。
以前にも紹介しましたが、勃起不全で治療中の男性にとっては良いニュースかもしれません。タダラフィルが2型糖尿病リスクを抑制するという報告もあります(論文をみる)。
下部尿路症状患者のタダラフィル使用が勃起不全患者よりも有益なのは、服用頻度がほぼ毎日と時々の違いかと思いました。
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