陰茎をファスナーに挟んだ
以下は、記事の抜粋です。
ジャンパーなどを着ていて、下に着ていた服や下着がファスナーに挟まれたことがある人は少なくないと思います。では、皮膚がファスナーに挟まれることはあるのでしょうか?
実は、ファスナーの開閉時に陰茎が挟まれることがあり、思春期の陰茎外傷の中でファスナーによる外傷は珍しくありません。2~12歳の男児において、4,000人に1人の割合でこの外傷が生じています。年齢を重ねると頻度が下がりますが、これは年齢を重ねると包皮が亀頭を覆う頻度が下がるためです。勢いよくファスナーを上げ下げすることがなくなることも影響していると思います。
<症例>
5歳、男児
主訴
陰茎がファスナーに挟まった。
経過
ズボンをはき、ファスナーを上げたところ、下着と一緒に包皮を挟んで取れなくなった。
男性であれば挟まれた際の激痛を想像できるでしょう。処置にあたってはとてつもない痛みと恐怖が予想されます。不用意にファスナーを動かせば痛みが生じますので、まず挟んでいる部位に局所麻酔を実施します。
では、どのようにしてファスナーから解放できるのでしょうか。まず、ファスナーの構造を理解することが重要です(図)。
スライダーの中はダイヤモンド部分で上下が繋がっていて、内部はY字形のトンネルになっています。ここを通ると務歯の隙間が押し広げられ、務歯同士がかみ合ったり離れたりします。陰茎がスライダーと歯の間に挟まれた場合、構造上、このダイヤモンド部分をニッパーなどで切断すれば上下に分離します。切断が困難な場合は、石けんなどを使用して滑りをよくしたり、マイナスドライバーを歯の間に差し込んでねじって広げたりする方法を試みます。
本症例は、局所麻酔後、ニッパーを用いてスライダーを切断し、除去しました。挟まれた部位は浅い挫創程度であったので、洗浄して軟膏を塗布したガーゼで覆って帰宅としました。
私も子供のころに4,000人に1人の経験をしました。ないとは思いますが、イザという時のためにメモしておきます。
コメント