COMTの遺伝子多型で決まる能力、人類進化図

天才トレーダーの能力は「生まれつき」、学習不能-遺伝子が決め手

面白い記事ですが、わかりにくい部分があるので、説明を追加します。以下のサイトで元の論文をみることができます。論文にはトレーダーという単語は出てきませんが、「迅速かつ柔軟に決定できる能力」ということですので、解釈は間違っていないと思います。

Genetic variation in dopaminergic neuromodulation influences the ability to rapidly and flexibly adapt decisions

COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質を分解する酵素です。

ドーパミンは、ヒトの中枢神経系ではprefrontal cortex(PFC、前頭前皮質)、線条体、視床下部などに存在しますが、本論文ではPFCのCOMTに注目しています。

ドーパミンの神経伝達は、線条体では主に「再取り込み」とよばれる機構で消去されるのに対して、PFCではCOMTによる分解が中心だそうです。

ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合があります。2つある遺伝子の両方がValの人(Val型)、両方がMetの人(Met型)、ValとMetを1つずつもつ人(混合型)の3種類の人がいます。

COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、PFCでのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型で遅いことになります。この研究では、Val型の人とMet型の人の「迅速かつ柔軟に決定できる能力」を比較し、Val型の方が能力が高いと報告しています。


おもしろい人類進化図をみつけました。

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