メトホルミンに追加すべき薬剤はSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬それともSU薬?
以下は、記事の抜粋です。専門的ですがとても重要な報告だと思うので紹介します。
GRADE(Glycemia Reduction Approaches in Diabetes: A Comparative Effectiveness Study)は、メトホルミン(メトグルコ®)単剤で血糖管理目標を達成できない患者に追加する血糖降下薬としてインスリン、SU薬(グリメピリド)、GLP-1受容体作動薬(リラグルチド)またはDPP-4阻害薬(シタグリプチン)の有用性を比較検討したランダム化比較試験である。その結果は、HbA1c低下作用はインスリンとリラグルチドが他の2剤に比べて優れており、体重減少効果はリラグルチドが最も優れていた。
しかし、メトホルミンに追加する2剤目として経口血糖降下薬ではなく注射薬(グラルギンまたはリラグルチド)を選択することは実臨床においてそれほど多くない。さらに2剤目の追加薬剤の選択肢にSGLT2阻害薬が含まれていないのが、この研究の結果を実臨床に反映しにくい理由の1つである。
本研究は、メトホルミンに追加する薬剤としてSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬およびSU薬のいずれが優れているかを英国CPRD(Clinical Practice Research Datalink)のデータを対象にして検討したものである。結果は、HbA1c低下作用、BMI減少作用、収縮期血圧低下作用においてSGLT2阻害薬が他の2剤に比較して優れていた。さらにSGLT2阻害薬は、心不全による入院抑制はDPP-4阻害薬に比較して優れており、腎疾患の進行抑制はSU薬に比較して優れていた。
臓器保護薬としてのSGLT2阻害薬の有用性は、高リスク患者を対象としたランダム化比較試験で明らかにされてきた。したがって多くのガイドラインでは、心不全または慢性腎臓病を有する2型糖尿病患者への積極的投与が推奨されている。しかし、われわれが通常外来で診察している低リスク患者に対する有用性はこれまで不明であった。本研究の結果は、低リスク患者においても血糖降下作用、BMI減少作用、収縮期血圧低下作用においてSGLT2阻害薬がDPP-4阻害薬、SU薬と比較して優れていることを示した点でインパクトが大きい。ただし本研究はメトホルミン投与患者への追加薬剤としての検討であり、この点には留意する必要がある。
糖尿病、特に2型糖尿では、推奨される治療薬の選択肢がどんどん変わっています。これについてこれない医者も多いのではないでしょうか?グリメピリドの商品名はアマリール®で、シタグリプチンの商品名はジャヌビア®です。また、糖尿病治療で最も高いリスクは低血糖です。インスリンを除いて、これらの薬の中でもっとも低血糖をおこし易いのはグリメピリド(アマリール®)です。
これらの情報を合わせると、2型糖尿病の低リスク患者でアマリール®あるいはグリメピリドを投与されているヒトは、薬だけでなく医者も替えた方が良いと思います。
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