痛風予備群:高尿酸血症 肥満や飲酒より遺伝子変異の影響
以下は、記事の抜粋です。
痛風の予備群とされる「高尿酸血症」の発症には、肥満や飲酒よりも、体外に尿酸を排出するのにかかわる遺伝子の変異が強く影響しているとの研究結果を、中山防衛医大医官らの研究チームが6月9日付の英科学誌電子版に発表した。
高尿酸血症の人は国内に約1000万人いると推計され、原因の一つに「ABCG2」と呼ばれる遺伝子の変異があることは分かっていた。今回、健康な人を含む35~69歳の約5000人の男女を対象に、高尿酸血症の要因を調べた結果、肥満(19%)や多量飲酒(15%)、加齢(6%)より、遺伝子変異(29%)の方が高かった。
日本人の約半数が、この遺伝子変異を持つとされ、日本人に最も多いのは尿酸の排出機能が4分の3に下がるタイプ。このタイプの場合、身長170センチの男性に与える影響は、5.7キロの体重増、毎週ウイスキー1.7リットル分のアルコール摂取に相当した。
実は昨年の6月に以下のニュースがありました。
20代以下の男性痛風発症者の約9割に特定の遺伝子変異を確認
以下は、記事の抜粋です。
防衛医大、東京薬大、東京大の3者は6月19日、痛風患者の発症年齢と尿酸を運ぶ輸送体の遺伝子解析から、若くして痛風を引き起こす主な要因が「ABCG2」という尿酸輸送体の特定の遺伝子変異と強く関連していることを発見し、ABCG2に遺伝子変異が認められる場合では、そうでない場合を比べた場合、平均発症年齢は最大6.5歳ほど若いことが判明したこと、ならびに20代以下における発症リスクは最大22.2倍高いことを発表した。
昨年の発表は、「Scientific Reports」に掲載されたのですが、今年のものは何という「英科学誌電子版」に掲載されたのかわからなかったので、内容は確認できませんでした。それにしても、昨年の内容は、「ABCG2」に変異があれば痛風の発症リスクが高いということで納得できるのですが、今年のものは何が新しいのか良くわかりません。以下に、記事を読んで思ったことを2つにまとめて書きます。
1.「今回、健康な人を含む35~69歳の約5000人の男女を対象に、高尿酸血症の要因を調べた結果、肥満(19%)や多量飲酒(15%)、加齢(6%)より、遺伝子変異(29%)の方が高かった。」という結論ですが、どうして「このヒトは肥満が要因」とか「遺伝子変異が要因」とか断定的に言えるのでしょうか?複数の要因が重なる場合もあると思うのですが、、、
2.100歩譲ってこの論法や結論を認めるとして、日本人の半分に変異があるにもかかわらず、「遺伝子変異が要因」とされるヒトが30%しかいないということは、むしろ「肥満や飲酒」が強く影響するということではないでしょうか?これら2つを合わせれば34%になりますけど、、、
追記
「楠医大卒業生さん」のコメントにより、「英科学誌電子版」が「Scientific Reports」であることがわかりました。タイトルは、”Common dysfunctional variants of ABCG2 have stronger impact on hyperuricemia progression than typical environmental risk factors”です(論文をみる)。
コメント
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http://www.nature.com/srep/2014/140609/srep05227/full/srep05227.html
お忙しいところすみません。上記がネタ元ではないでしょうか?
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>楠医大卒業生さん
コメントありがとうございます。その通りだと思います。タイトルは"Common dysfunctional variants of ABCG2 have stronger impact on hyperuricemia progression than typical environmental risk factors"です。