セックスはいい運動になるのか?
以下は、記事の抜粋です。
◆セックスの運動強度
「セックスは運動か?」という問いに対する科学界の回答はおおむね「イエス」となります。スペインのアルメリア大学とムルシア大学の研究者らは、性行為に伴う「身体的要求」、つまり肉体的な負荷に関する過去の研究を体系的に分析しました。
その結果、性交渉によって心拍は速くなり、エネルギーが消費されることが確かめられました。例えば、心拍数モニターを取り付けたカップルが性行為に臨んだ研究によると、性行為中の平均心拍数は90~130bpm、ピーク時は145~170bpmだったとのこと。
消費カロリーに着目すると、1回の性行為で最大130kcalを消費したという研究があった一方で、別の研究では男性は約101kcal、女性は約69kcalが最大値でした。ピーク時の心拍数を除けば、これらの結果は穏やかなジョギングに近い数値とされています。
性行為の長さも、研究によってばらつきが出ました。例えば、若く健康なカップルのセックスの持続時間は平均32.38分でしたが、心血管疾患患者のセックスを調べた別の研究では平均18.6分でした。
性行為の運動強度は体位や時間などによって左右されますが、総合的に見ると「性行為は中程度から相当激しい程度の身体的要求を生じさせる可能性があります」とアルメリア大学のホセ・M・ムヨール教授は結論づけました。
◆セックスで心臓は止まるのか?
セックスは心臓に適度な負荷をかける一方で、ごくまれに心臓を停止させてしまうこともあります。
JAMA Cardiologyに掲載された2022年の研究によると、1994年から2020年にロンドンの医療当局に報告された致死的な突発性心停止6847件のうち、性行為中または性行為の直後に発生したものはわずか17件だったとのこと。死亡時の平均年齢は38歳で、17件中6件は女性でした。
また、2011年から2016年までにフランスのパリおよびパリ近郊で報告された3028件の事例を分析した2018年の研究では、合計17人、割合にすると約0.6%が性行為中または性行為の直後に心停止に陥っていました。なお、17人は全員男性で、大半が50代だったとのことです。
いずれにせよ、これらの研究では腹上死がかなりまれなケースだということが示されていることから、2つ目の研究論文の著者であるパリ大学のエルワ・マリジョン教授は「セックスを含むあらゆる身体活動中は、安静時より心停止のリスクが高まります。しかし、心臓は他の筋肉と同じく、セックスを含めた運動により強化され、心停止に対する抵抗力が増します。ですから、セックスをリスキーな状況と見なすべきではないでしょう」と話しました。
一次研究論文を扱うオープンアクセスジャーナル・Scientific Reportsで2022年に発表された研究では、競技前のセックスがパフォーマンスに影響を与えるかどうかが検証されました。
合計132人の男性と1人の女性が参加した9件の研究を分析した論文では、「運動前の30分から24時間以内の性行為は、有酸素運動能力、筋骨格系の持久力、筋力に影響を与えないようである」と書かれています。著者のカリフォルニア大学のジェラルド・ザヴォースキー氏は「レースなどを控えた前日にセックスを避けたり、逆に奨励したりする理由はないと言えます」とコメントしました。
セックスが競技のパフォーマンスに及ぼす悪影響はほとんどない一方で、逆に運動はセックスに良好な影響を与えることが示唆されています。6000人以上の男女を対象とした2019年の研究では、運動している人ほど、男性では勃起不全を、女性では性機能不全を訴える人が少ないという結果が報告されました。
腹上死がこんなに少ないとは思いませんでした。カマキリとヒトとは違うのですね。
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