『科研費の審査員を経験して』を読んで

2科研費の審査員を経験して
以下は、記事の抜粋です。


今回は、「申請書はどうのように書くべきか」ではなく、審査員の経験者であるapoptosisが、「審査員は申請書のどんなところを気にするのか」について何となくつぶやいてみたいと思います。

あまり若いと科学研究費の審査委員になることはできません。ということで、年寄りのくせに筆の遅いapoptosisが、折角経験した科研費の審査で思ったこと、すなわち、申請書作成時にこんなことを気にしてほしかった事などを書き出してみます。

1.研究目的

一番ここが大切ですね。たくさん情報を入れれば良いというわけではありません。大きいところから入って目的となる対象に向かってわかりやすく書いてあるかどうか、がポイントになります。意外と書けていない人が多いのです。

この流れがきちんと書けていると、審査員の頭の中に【研究の波及効果】が浮かび上がるようになります。ただし、鈍感な審査員だと分からない恐れはあります。

これまでの実績と絡めた取得したデータ等の図に関してですが、写真などの図の場合、非常に微妙になります。【解説を多く必要とする図】の使用ははっきり言って理解を妨げます。ですので、図の説明に文章量が必要になる場合は、その図の使用は避けた方が賢明です。

最後にオリジナリティ。何故これがオリジナルなのかを短時間で理解するのは結構難しいんです。どうして【世界で初めての報告】なのか、その文章に至るまでにきちんとした説明がほしいですね。後、何故その発想に至ったのかが分かると好感度アップします。さらに、その研究者が得意とする【必殺技】によって初めて可能になる、なんて言うのは効果的です。

2.研究計画

審査員にどれだけ研究の流れをイメージさせられるかがポイントになってくると思います。派手さのない【堅調な】研究計画が好きですが、申請者の【必殺技】が何処で出てくるのかも気になるところです。細目ごとの時間軸が視覚的に分かるようにしてもらうと評価しやすいのです。

私が特に気にしたのは研究期間の配分です。例えば『3年間分ほしいから3年で計画した』のが分かるようでは非常に心証が悪くなります。『目的を達成するための課題設定』および『個々の課題の期間配分』が審査員が容易に想像できるかが鍵になるのです。いくらやったことのない実験であっても、いたずらに長い期間を設定するとさすがに分かります。『可能な限り適切な期間設定』をしてください。

『上手く進まなかったときの対応法』に関してですが、目的のところでさりげなく言及した『波及効果』と絡められると良いかと思います。どういう事かというと、当初目的とした事は達成できなくても、関連した研究に流し込めるような伏線を張っておくと、申請した研究計画の潜在的な壮大さを訴えることができます。

3.その他

『予算』のところですが、研究開始してからまもなく『海外出張』を予定されている方が意外といらっしゃいます。そんなに焦って国際会議で発表する必要性は限りなく低いので、予算の妥当性に疑問符がつきます。

次は、『これまでに受けた研究費』および『申請中の研究費』の点です。これまでの研究実績というのは非常に気になるのです。論文などのリストを見ても論文の中味までは詳細に分からないので、こちらを読む方がよっぽど参考になります。ということで、『何をやってきたのか』および『研究申請ごとの差異』をきちんと書いてください。

最後は『誤字脱字』です。適当のコピペで作成しているのが分かってしまうような場合に関しては、その申請書の印象は非常に残念なものになってしまいます。ですので、ありがちな変換ミスなどは気合いを入れて見つけ出しましょう。


私の場合、「大きいところから入って目的となる対象に向かってわかりやすく書いてあるかどうか」とか「審査員の頭の中に【研究の波及効果】が浮かび上がるように」などとは考えたこともありませんでした。図も流れ図程度しか使ったことがなく、【必殺技】も意識せずに【世界で初めて】を連発していました。

計画についても、『3年間分ほしいから3年で計画した』そのものでした。きっと心証は悪かったのでしょう。『上手く進まなかったときの対応法』についても『波及効果』に流し込むのではなく、ほぼ確実に上手く進むことを強調したり、別のやり方もあるみたいなことを書いていました。

私も『研究申請ごとの差異』や『誤字脱字』には気をつけていました。あとは、これまで何をめざしてどのくらいの実績をあげたか、その実績や経験の中からどのようにして今回の発想が生まれたのかというところは力を入れていました。

できれば、誰かが億単位の金を独り占めせず、そこそこ真面目にやっている研究者には、たとえその申請書が下手クソに書かれていても、ある程度の研究費が広く分配される世の中になって欲しいと思います。そうなれば、無理矢理トップジャーナルに載せるためのデータ捏造などが減るような気がします。

コメント

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