帯状疱疹ワクチンが心臓病や脳卒中のリスクを減らす可能性

帯状疱疹ワクチンは心臓病や脳卒中のリスクを減らす可能性がある
以下は、記事の抜粋です。


帯状疱疹ワクチンとは、水痘(水ぼうそう)ウイルスの再活性によって引き起こされる帯状疱疹のリスクを下げるワクチンであり、日本では2025年度から65歳以上の人で予防接種法に基づいた定期接種の対象となりました(お知らせをみる)。新たな研究では、帯状疱疹ワクチンが単に帯状疱疹を予防するだけでなく、心臓病や脳卒中のリスクも軽減する可能性があると示されました。

帯状疱疹は、主に幼少期に水痘にかかった際の水痘ウイルスが体内で数年~数十年間にわたって潜伏し、加齢やストレスをきっかけに再活性化することで発生します。典型的な症状は神経に沿って帯状に現れる水ぶくれで、これ自体が痛みやかゆみを伴います。また、水ぶくれが治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛という後遺症もあるほか、目の近くに水ぶくれができると視力低下につながるリスクもあるとのこと。

帯状疱疹によって死亡するケースはまれなものの、高齢者になるほど発症や重症化のリスクが高まり、後遺症で長年にわたって生活の質が低下する危険性もあります。

これまでの研究では、帯状疱疹ワクチンを接種しなければ、約30%の人が一生のうちに帯状疱疹を発症する可能性があるとわかっています。さらに、帯状疱疹は認知症との関連も指摘されており、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクを軽減するとの研究結果も報告されています(記事をみる)。

また、近年の研究では帯状疱疹が脳卒中や心臓病のリスクを高めることも示唆されているため、韓国の慶熙大学校などの研究チームは、帯状疱疹ワクチンが心臓病や脳卒中のリスクを軽減するかどうかを調査しました。研究に用いられたデータは、最終的に韓国に住む合計120万人以上の50歳を超える人々を含んでいたとのこと。

分析の結果、帯状疱疹ワクチン接種を受けた人は全体的な心血管疾患のリスクが23%も低いことが判明。内訳を見ると冠動脈疾患のリスクが22%、心不全のリスクが26%、脳卒中や心臓発作などの主要な心血管リスクが26%低かったと報告されています。

帯状疱疹ワクチン接種による心血管疾患のリスク軽減効果は、接種から2~3年間が最も強かったそうですが、効果は最大8年間も持続することがわかりました。また、特に「男性」「60歳未満」「喫煙・飲酒・運動不足といった不健康なライフスタイルを持つ人」で効果が高かったとのことです。

なお、今回の研究で対象となったのは、「ゾスタバックス」という種類の生ワクチンでしたが、近年は「シングリックス」という組み換えワクチンも普及しています。シングリックスの効果について知るにはさらなる研究が必要ですが、以前の研究ではシングリックスも認知症リスクの低下に関連していることが示されています。


元論文のタイトルは、「帯状疱疹の生ワクチン接種と心血管転帰:韓国全国規模の研究」です(論文をみる)。

論文に著者が言ったとされているように、「帯状疱疹は血管の損傷や炎症、血栓の形成などを引き起こし、心臓病につながるリスクがある」のが理由かもしれませんが、二重盲検比較試験ではないので、ワクチンを打つヒトの健康意識が高いだけの可能性があると思います。

最近、帯状疱疹に感染したあと片方の耳がほぼ聴こえなくなった人に会いました。帯状疱疹ワクチンはインフルエンザワクチンと違って効果が長く続くので、接種を強くお勧めします。

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