海洋では分解しないと共通認識されていた市販のナイロンの釣り糸の一部は、海洋生分解性のセルロースと同等レベルで生分解する

これまで分解しないとされていた市販の釣り糸が海洋で生分解することを発見
以下は、記事の抜粋です。


ポイント
●これまで高分子分野や水産業分野で、海洋では分解しないと共通認識されていた市販のナイロン6とナイロン6,6の共重合体の釣り糸が、共重合体の比率がある範囲に入る場合には、代表的な海洋生分解性ポリマーのセルロースと同等レベルで生分解することを世界で初めて明らかにした。
●現在市販されているほとんどの釣り糸は生分解性でないため、切れた場合に水鳥やウミガメなどに絡まることによる生態系への悪影響や、マイクロプラスチック化することによる海洋汚染が世界的な問題になっている。
●今回の発見は、釣り糸による海洋汚染拡大の歯止めとなるのみならず、漁網などの漁業系プラスチックに展開することにより、ゴーストギア問題の包括的解決にも貢献できる。

概要
これらの結果は、ナイロンを非生分解性ポリマーとして扱ってきた教科書の記述や、高分子分野・水産業分野の共通認識が間違っていることを示し、これまでの常識を完全に覆すものです。この発見を契機として生分解可能な釣り糸が世界中で盛んに利用されるだけでなく、漁網等の漁業系プラスチックの材料開発に展開が可能となることから、ゴーストギア問題の包括的解決が期待されます。


ゴーストギア問題とは、海に捨てられたり、失われたりした漁具(網、釣り糸、ロープ、カゴなど)が、環境や生態系に悪影響を及ぼす問題のこと。「ゴーストギア(Ghost Gear)」とは、「幽霊漁具」という意味で、人の管理を離れた漁具が海中を漂い続ける様子から名付けられたそうです。
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4452.html

実験で分解が確認されたのは、あくまで特定の共重合体比率のナイロンだけですし、分解速度は海域の条件(温度や微生物の種類など)に大きく左右されます。それにしても、ゴーストギア問題が改善され、下の写真のようなことが減るのならすごい発見だと思います。ただ、分解されるナイロンでできた漁具の耐久性は問題にならないのか?が気になります。

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