監視療法でも積極的治療を選択しても前立腺がんによる死亡率には有意差を認めず、死亡率はかなり低かった。また、監視療法群のうち24.4%に当たる133例は無治療で生存していた。

前立腺がんに対する積極的な監視、手術、放射線治療の15年解析結果
以下は、記事の抜粋です。


1999年から2009年にかけて英国では、50歳から69歳までの8万2,429例の男性が血清PSA検診を受けていた。そのうち、2,664例が限局性前立腺がんと診断され、1,643例が本試験(ProtecT trial)にランダム化して登録された。その内訳は、545例が積極的な監視療法、553例が前立腺全摘除術、545例が放射線治療であった。

観察期間の中央値は15年であり、主要評価項目は前立腺がん死、副次評価項目は他因死、転移、病勢進行、長期アンドロゲン除去療法の開始とした。

1,610例において観察が完了し、1/3の患者で中リスクから高リスクであった。前立腺がん死を来した45例の内訳は、監視療法17例、手術12例、放射線治療16例であった。他因死の356例に関しては、どの群とも似た人数であった。

転移を来した患者の内訳は、監視療法51例、手術26例、放射線治療27例であった。長期アンドロゲン除去療法を施行したのは各群で、69例、40例、42例であった。臨床的に病勢進行を来したのは各群で、141例、58例、60例であった。監視療法群において、前立腺がんに対する処置を行わずに生存していたのは、24.4%に相当する133例であった。

結語としては、血清PSA測定によって発見された限局性前立腺がんは、積極的な治療を行えば、監視療法に比べて有意に再発率は低くなるものの、監視療法でも積極的治療を選択しても前立腺がんによる死亡率には有意差を認めず、死亡率はかなり低いものであった。以上から、治療法の選択には、限局性前立腺がんの治療に伴う益と害のトレードオフを比較検討することが望まれるとされた。

興味深い点は、15年の観察期間のうち、3年以内に約30%の患者が監視療法から積極的治療に変更し、最終的には90%以上の患者が手術か放射線治療を施行されていた。一方で、監視療法群のうち24.4%に当たる133例は無治療で生存していたことは注目に値する。


元論文のタイトルは、「前立腺癌のモニタリング、手術、または放射線療法後の15年間の転帰。」です(論文をみる)。

患者を監視、手術、放射線治療の3つにランダムに分けたのではないので、監視群(手術や放射線治療なし)には軽症例が多いことが想像されます。それにしても、悩ましい結果です。性機能障害や排尿障害の頻度も知りたいところです。

がんを見つけてしまったら、何もしないわけにはいかないのが、医療者根性です。前天皇も手術でした。

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