XBB.1.5、感染力・免疫逃避能ともに増強

オミクロン株XBB.1.5、感染力・免疫逃避能ともに増強
以下は、記事の抜粋です。


米国疾病予防管理センター(CDC)が発表したデータによると、米国では2022年12月より新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5の感染が急激に増加し、2023年2月4日時点で全体の66.4%を占めている。XBB.1から派生したXBB.1.5は、日本でも感染例が確認されており、今後の感染拡大が懸念されている。

東京大学の佐藤 佳氏らの研究グループは、XBB.1.5のウイルス学的特徴を、流行動態、感染性、免疫抵抗性などの観点から解析し、XBB.1.5はXBB.1と比べて、実効再生産数(Re)が1.2倍高いことや感染力が高まっていること、さらに血清中の中和抗体に対してBA.2やBA.5よりもきわめて高い免疫逃避能を持つことを明らかにした。

主な結果は以下のとおり。

・米国内のウイルスゲノム取得情報を基に、ヒト集団内におけるオミクロン株BQ.1.1、BQ.1、XBB.1、XBB.1.5のそれぞれについて実効再生産数を推定したところ、XBB.1を基準とすると、BQ.1.1、BQ.1は同等かわずかにそれ以下であったのに対し、XBB.1.5はXBB.1の1.2倍高かった。
・スパイクタンパク質と感染受容体ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)との結合を検証したところ、XBB.1.5のスパイクタンパク質のACE2への結合力が、BA.2の6倍、XBB.1の4倍高かった
・ウイルスの感染性について、XBB.1.5はXBB.1と比べて3倍高い感染力を示した。
・XBB.1.5の免疫逃避能について、ワクチン接種後にBA.2にブレークスルー感染した人の血清においてBA.2の20倍、BA.5にブレークスルー感染した人の血清においてBA.5の9.5倍、血清中の中和抗体に対して強い抵抗性を示した。XBB.1.5とXBB.1の抵抗性の強さは同程度だった。

XBB.1.5は、XBB.1と同様の高い免疫逃避能を保持しつつ、スパイクタンパク質に新たにS486P変異を獲得したことで、XBB.1よりも強くACE2と結合できるようになり、その感染力を高めたと考えられるという。今後、XBB.1.5の流行は全世界に拡大していくことが予想され、第9波の主体になる可能性も懸念されており、これを回避するために有効な感染対策を講じることが肝要だとしている。


元論文のタイトルは、”Enhanced transmissibility, infectivity, and immune resistance of the SARS-CoV-2 omicron XBB.1.5 variant. (SARS-CoV-2 オミクロン XBB.1.5変異体の感染性、感染力、免疫抵抗性の向上について)”です(論文をみる)。

XBB1.5は、2価ワクチンを打って第8波でオミクロンに感染したヒトにも余裕で感染するという話です。どう考えても、日本でもXBB.1.5による「第9波」が来そうです。政府はそれに合わせて、新型コロナ感染を2類から5類に移し、マスク着用の奨励をやめようとしています。とてもめでたいです。

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