米で衝撃の発表 カルシウムサプリは心臓に悪影響!
以下は、記事の抜粋です。
食事から摂取するカルシウムは骨折を防ぎ、心臓発作の危険性を減らす。一方、カルシウム・サプリメントを摂取すると、骨折は減少するが、心臓発作や心筋梗塞のリスクは増大する。こんな研究結果をスイス、チューリヒ大学の研究者が発表した。
研究はドイツ、ハイデルベルグの住人、24,000人を対象におこなわれた。1994年~1998年までの間に35歳~64歳だった男女を平均11年間にわたって追跡したもの。
その間に心血管性の心臓発作が354回、心筋梗塞260回が観察され、267名が死亡した。カルシウム摂取量と心臓発作の関係を調査した結果では、適量とされる1日あたり820mgを摂取していた人では、心臓発作のリスク低下が見られた。
またカルシウム・サプリメントを摂取した人は、心臓発作を起こす可能性が86%増加することがわかった。
研究をおこなったのは、チューリヒ大学のサビニ・ローマン教授。研究結果は5月23日、Heart誌オンライン版に掲載された。食事でカルシウムを摂取すると、心臓発作の可能性が下がるのに、サプリメントで摂取するとなぜ上がるのかは不明。
同様の研究をおこなった専門家は、高容量のカルシウムが一気に血液中に放出されると、血管壁を傷つけるのでは、との可能性を指摘する。米国では、カルシウム・サプリメントは高齢者の骨折を10%減少させるが、心臓発作の可能性を25%引き上げる、との研究も発表されている。
元論文のタイトルは、”Associations of dietary calcium intake and calcium supplementation with myocardial infarction and stroke risk and overall cardiovascular mortality in the Heidelberg cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study (EPIC-Heidelberg)”です(論文をみる)。
上の記事では少しわかりにくいですが、「適量とされる1日あたり820mgを摂取していた人」というのは食事でカルシウムを摂取した人のことで、心筋梗塞リスクは30%低下しました。一方、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞リスクを86%増加させました。
サプリメントの場合、摂取後に血中カルシウム濃度が急激に上昇し、これによって血管壁へのカルシウム沈着が生じることがリスク上昇の原因であると考えられています。食事による摂取では、このような急激な血中カルシウム濃度の上昇は認められないそうです。
カルシウム・サプリメントは、骨粗鬆症の予防・治療の目的で非常に多く摂取されています。しかし、カルシウム・サプリメントが心筋梗塞リスクを増やすという報告はこれが初めてではありません(記事をみる)。また、カルシウムを摂りすぎると骨折が減らないばかりか、大腿骨頭骨折が約2割増えるという記事もあります(記事をみる)。
これまでの報告をまとめると、カルシウム・サプリメントの骨密度上昇や骨折予防における効果は小さく、心血管リスクを増大させます。骨粗鬆症や骨折の予防・治療の目的でカルシウム・サプリメントを摂取することは再考されるべきです。カルシウム摂取は、できるだけ食事でということだと思います。
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