美空ひばりさん患った難病の発症抑える物質発見?

美空ひばりさん患った難病の発症抑える物質発見

以下は、記事の抜粋です。


歌手の美空ひばりさんが患った難病「特発性肺線維症」の発症を抑える物質を、武田吉人・大阪大助教らの研究チームがマウスの実験で突き止めた。治療薬の開発につながる成果で、米医学誌に5月17日、発表する。

特発性肺線維症は、間質性肺炎が悪化したもので、肺が硬化して呼吸ができなくなり、5年前後で死に至る。喫煙やウイルス感染、加齢など、様々な原因が考えられているが、はっきりしない。有効な治療法はなく、日本には推定1万人以上の患者がいるとされる。美空ひばりさんはこの病気が原因で、1989年に52歳で亡くなった。

武田さんらは、肺の上皮細胞の表面にあり、細胞の形や機能を調節している「テトラスパニンCD151」というたんぱく質に着目。遺伝子操作で、このたんぱく質が作れないマウスを作ったところ、肺胞の上皮にコラーゲンが蓄積して硬くなり、特発性肺線維症と非常によく似た症状になった。実際の患者10人の肺を調べると、6人でこのたんぱく質の量が半分以下に減っていた。

武田さんは「このたんぱく質を増やす薬を開発すれば、有効な治療法になるだろう」と話している。


本当に美空ひばりさんが「特発性肺線維症」だったのか、知りたいと思って調べましたがわかりませんでした。しかし、「特発性肺線維症は間質性肺炎が悪化したもの」というのは誤りだと思います。

難病情報センターによると、間質性肺炎の原因には、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病、職業上や生活上での粉塵やカビ・ペットの毛・羽毛などの慢性的な吸入、病院で処方される薬剤、漢方薬、サプリメントなどの健康食品、特殊な感染症など、様々なものがあることが知られていますが、原因を特定できない間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」というとされています。

特発性間質性肺炎は病態の異なる7つの疾患からなり、最も頻度が多く治療が難しいのは「特発性肺線維症」です。この疾患の原因は不明で、喫煙、ウイルスなどの感染や逆流性食道炎などの危険因子と複数の原因遺伝子群が関与している可能性が考えられています。

美空ひばりさんは晩年、アルコールの多飲が原因と思われる肝硬変と両側性大腿骨骨頭壊死に苦しんでいたことは有名です。高分解能CT写真で特徴的所見である蜂巣肺が認められたのでしょうか?彼女の間質性肺炎が本当に「特発性肺線維症」だったかどうかは怪しいと思います。

また、この記事の元論文のタイトルは、”Tetraspanin CD151 Protects against Pulmonary Fibrosis by Maintaining Epithelial Integrity”です(論文要約をみる)。論文要約には、tetraspanin CD151のノックアウトマウスで肺線維症が起こりやすくなり、特発性肺線維症の患者では、tetraspanin CD151を発現する肺上皮細胞が減ったとだけ書かれています。CD151を過剰発現すると肺線維症の発症が抑えられたことは書かれていません。これで、「美空ひばりさん患った難病の発症抑える物質発見」と言えるのでしょうか?ひばりさんも草葉の陰で驚いておられるのでは?

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