ヘディングした回数が多いサッカー選手ほど認知機能が低下しやすいことが判明
以下は、記事の抜粋です。
サッカーの試合を観戦していると何度も目にする「ヘディング」は、脳機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、子どもがヘディングすることを禁じている地域も存在します。そんなヘディングと認知機能の関係がイングランドで行われた研究によって明らかになりました(論文をみる)。
イングランドではプロサッカー選手に対して「強い負荷のかかるヘディング練習」を週に10回までにするように求めるガイドラインが制定され、11歳以下の子どもにヘディングを教えることを禁止するルールも作られています。
2019年に発表された研究では、元サッカー選手のスコットランド人男性の「神経変性疾患で死亡する可能性」がサッカー選手以外の男性よりも約3.5倍高いことが判明。2021年の研究では、ヘディングを頻繁に行うポジションを担当した選手ほど神経変性疾患で死亡するリスクが高くなることも示されました。
上述の研究は「死亡した元サッカー選手」の情報を基に行われています。リヴァプール・ジョン・ムーア大学のダビデ・ブルーノ氏とキール大学のアンドリュー・ラザフォード氏は、生存している元サッカー選手を対象にヘディングと認知機能の関係を分析しました。
両氏は平均年齢68歳の元サッカー選手60人を対象に、アルツハイマー病の診断などに用いられる認知機能検査「Test Your Memory(TYM)」を実施。さらに、被験者から「プレイしたポジション」「キャリアの長さ」「トレーニング体制」「頭部外傷の有無」といったプレイヤーとしてのキャリアに関するアンケートを行いました。加えて被験者が試合やトレーニングごとに行ったヘディングの平均数を聞き取り、試合の出場数やトレーニング時間をかけ合わせて各被験者の総ヘディング回数を推定しました。
その結果、総ヘディング回数が多い被験者ほどTYMのスコアが低くなることが判明。さらに、ヘディング10万回ごとにTYMのスコアが3ポイント低下することも明らかになりました。両氏は「TYMにおける『3ポイント』という点差は、認知能力の低下を示すのに十分です。またプロサッカー選手の総ヘディング回数は数十万回に及ぶため、『10万回』という回数は多すぎる数ではありません」と指摘しています。
両氏は今回の研究について、「頻繁なヘディングと認知症の発症に関連があることを示しています」と述べています。また、両氏は研究結果を基に「トレーニング中のヘディング回数を制限することは、おそらく正しいです。」と主張しています。
なお、日本サッカー協会は2021年4月30日からヘディング指導ガイドラインを公開しています。ガイドラインには「現時点ではヘディングに関わるリスクについては、その科学的な根拠は十分ではない。今後の医・科学研究の報告を十分にフォローしながら、本ガイドラインは常にアップデートされる」と記されています(ガイドラインをみる)。
これまで、スコットランド人の元プロサッカー選手は,神経変性疾患による死亡率がマッチさせた対照よりも高いこと(記事をみる)、ヘディングは脳にダメージを与えること(記事をみる)、アメリカサッカー協会が10歳以下のヘディングを禁止したこと(記事をみる)などを紹介してきました。
スポーツとしてのおもしろさがどうなるのかは分かりませんが、ヘディングはやめた方が良いと思います。
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