ホタルイカ その2 などなど

ホタルイカ(Watasenia scintillans)は分類上では軟体動物門、頭足綱、ツツイカ目、開眼亜目、ホタルイカモドキ科、ホタルイカ属に属しています。オスは胴長4センチ前後、メスは6センチ前後で、「コイカ」「マツイカ」などと呼ばれています。寿命はどちらも1年。海岸近くまで押し寄せるのはすべてメスで、オスは2月ごろに深海で交接した後すべて死ぬそうです(´・ω・) 。

ホタルイカは島根から新潟にいたる日本近海に広く分布し、更に朝鮮半島東海岸や太平洋側にも広く分布生息しているようですが、産卵期に毎夜産卵群遊が行われるのは富山湾だけなので、大正11年に、常願寺東河口から魚津信濃浜にかけての海岸線から700メートルの沖合までの海面を「ホタルイカ群遊地」として天然記念物に指定されました。その後、昭和27年に「ホタルイカ産卵群遊海面」として改められ、特別天然記念物に指定されました。

ホタルイカの発光器には、腕発光器、眼発光器、皮膚発光器の3種類があります。腕発光器が最も強力です。これらはそれぞれ異なった組織構造をしており、発光組織、レンズの働きをする組織、それらをとりまく黒色色素層、栄血リンパ管、神経組織などからできているそうです。

発光の分子メカニズムはまだわかっていないようです。以下は、2008年に下村先生がノーベル賞を受賞された時の新聞記事の抜粋です。


光のナゾ今も追求 下村さん、ホタルイカ共同研究
ノーベル化学賞受賞が決定した下村脩さんは、受賞研究について「やり残したことはない」と語る一方、今も日本の研究者とともに、光る生物のナゾを追い求めて研究に取り組んでいる。

研究対象は、富山湾名物のホタルイカ。実は、下村さんが日本にいたころから注目していた光を放つ生物だ。生物有機化学を専攻する三重大教授の寺西克倫さんは、このホタルイカを使って下村さんとともに、共同研究を続けている。

発光する生物は数多くいるが、下村さんによると、しくみがよくわかっているのは8種類くらい。ホタルイカの発光には、非常に不安定な物質が関係しており、分子レベルのしくみはまだ明らかになっていないという。

「ようやく研究するたんぱく質を安定化させるのに成功し、その成果を今年はじめに2人で論文として発表した。まだ研究の下準備を進めている段階だが、発光機構の解明を目指したい」と、寺西さんは意欲を燃やす。


ホタルイカの学名Watasenia scintillanshighwireをサーチすると、タイトルおよび要約にホタルイカを含む論文が24出てきます。寺西さんと下村さんの論文によると、ホタルイカのルシフェラーゼは膜結合性で、二硫酸セレンテラジン(coelenterazine disulfate)がよい基質だそうです。発光反応にATPは必要ですが、非水解性のATPアナログでも代用可でAMPが発生しないことから、ホタル(昆虫)のルシフェラーゼとは異なり、ATPの加水分解を必要としない反応のようです。

昨年9月に発表された別のグループの論文をみても、ホタルイカのルシフェラーゼが単離・精製できないために、まだそのメカニズムはわからないとされています(論文をみる)。ホタルイカの全ゲノム配列はまだ決まっていないのでしょうか?

以下は、ホタルイカに関する様々な資料と生きたホタルイカを観ることができる「ほたるいかミュージアム」で撮った写真などなどです。

左はミュージアムに続く観光船受付所や売店。右はミュージアムの入り口。ミュージアムの全景は撮りませんでしたが、とても立派な建物です。

ポスターと入場券発売機。「発光ショー」が売りです。

ホタルイカ漁の方法、歴史、俳句などがパネルで展示されています。小さなシアターでは漁のビデオなども観れます。このビデオや発光ショーは撮影禁止でした。

生きたホタルイカに触れることができる水槽(上)。「お食事はレストランで」、「食べないでください」と書いてあります。きっと、誰かが食べたのでしょう。下は苦労して撮影した発光するホタルイカです。足の先が1箇所だけ光っています。

以下は、ミュージアムの若い女性職員に教えてもらった回転寿司レストラン「祭ばやし」での写真です。上は店の外観。下は茹でホタルイカ。

上は白えび。下は地物の甘エビの看板。

左は地物の甘エビ、普通の2倍ぐらいのサイズ。右は「げんげの唐揚げ」。げんげは主に日本海沿岸で水揚げされる深海魚で、正式名は「ノロゲンゲ」、最大40センチほどになるそうです。底引き漁の副産物なので関西には流通していないようです。寒天の様なプルプルした絶妙の食感でした。

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