海藻食べ過ぎ、甲状腺がんリスク増か=閉経後の女性-環境研究所など
以下は、記事の抜粋です。
閉経後の女性が海藻を食べ過ぎると、甲状腺がんのリスクが高まる可能性があるとする報告を国立環境研究所と国立がん研究センターのチームがまとめ、4月11日までに欧州のがん専門誌に発表した。環境研の道川研究員は「海藻に含まれるヨウ素が原因の可能性がある」と分析している。
研究チームは1990~2007年、10府県の40~69歳の女性約5万人を追跡調査した。調査開始後に甲状腺がんになった閉経後の女性は111人で、海藻をほぼ毎日食べるグループは、週2回以下のグループに比べ、2.4倍がんになりやすいことが分かった。甲状腺がんの一種である乳頭がんでは3.8倍の差があった。
元論文のタイトルは、”Seaweed consumption and the risk of thyroid cancer in women: the Japan Public Health Center-based Prospective Study”です(論文要約をみる)。雑誌は”European Journal of Cancer Prevention”で、うちの大学からはfull textをみることができませんでした。
論文の要約には、”Seaweed consumption was clearly associated with an increased risk of papillary carcinoma (HR for almost daily consumption compared with 2 days/week or less=1.71; 95% CI: 1.01–2.90; trend P=0.04). “と書かれており、HR=Hazard Ratioだとすると「海藻をほぼ毎日食べるグループは、週2回以下のグループに比べ、2.4倍がんになりやすいことが分かった。」は誤りで、「2.4倍」ではなく、「1.71倍」が正しい数値です。
また、Wikiによると、甲状腺乳頭がんの好発年齢は30-50歳代です。がんとはいうものの、予後は極めて良好で、10年生存率は80%以上とされており、1センチ以下の小さな乳頭癌は症例を選べば手術をせずに定期的に経過をみるだけで十分であるという報告もあります。この論文の推論が正しく、海藻を毎日食べることにより閉経後の甲状腺がんリスクが3.8倍に上昇するとしても、このような甲状腺がんは、寿命にはほとんど影響しないと思います。
私の身近の女性が毎日食べていたモズクを止めたというのを聞いて、このニュースを知りました。驚いたことに、朝日・毎日をはじめとするほとんどのマスメディアがこの誤った時事通信ニュースをそのまま報道しています。民衆が右往左往するのは仕方ないとしても、生産者があまりに気の毒です。
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