現代日本人における旧石器時代日本人（縄文人）の遺伝的寄与―ゲノムワイドなデータを用いた推論

Paleolithic Contingent in Modern Japanese: Estimation and Inference using Genome-wide Data

以下は、論文要約の抜粋です。

日本人の遺伝的起源については多くの論争がある。約2,000年前に大陸からの移民の流入が始まるまで、旧石器時代前半の日本人、即ち縄文人は、10,000年以上にわたって隔離された日本列島で独自に発展した。 しかし、縄文人の起源とその現代日本人遺伝子プールへの寄与についての知識は、ミトコンドリアDNAとY染色体を用いた広範な研究にもかかわらず、まだまだ限られている。

本稿では、縄文人の起源を推論し、その現代日本人遺伝子プールへの寄与を推定するため、全世界の94のヒト集団に由来するゲノムワイドなデータを解析した。その結果、縄文人の遺伝的寄与は、琉球で54.3-62.3%であり、本土日本人ではの23.1-39.5%であることがわかった。さらに、推定した対立遺伝子頻度を利用して、縄文人の起源が北東アジアであることを示した。

現代日本人の起源については、縄文人がそのまま現代まで続いているという説と、大陸からやってきた弥生人が完全に縄文人を駆逐したという説、その中間の3つの説があるそうです。しかし、現代の日本人集団に対する縄文人の遺伝的寄与については、日本人集団が、様々なレベルでの遺伝子の混合を経た結果、縄文人のみを祖先とするグループが存在しないため、解明が進んでいなかったそうです。

本研究の結果、今から約2000年前に大陸から移住してきた弥生人は、稲作農業の技術と金属製の道具を持っており、大きな人口を支える食料を得る能力において縄文人よりも優れていたので、弥生人の集団が西日本から急速に拡大して日本列島を支配するようになったことが推論されました。

本土日本人では約3分の1しか縄文人の遺伝子が残っていないのに対して、沖縄では半分以上も残っていることが興味深いと思いました。我々関西人は、大陸から日本列島に侵略してきた祖先をもつ可能性が高いようです。