ネココロナウイルスの治療薬が新型コロナウイルス感染症に効果を発揮することを示す研究結果

ネココロナウイルスの治療薬が新型コロナウイルス感染症に効果を発揮することを示す研究結果
以下は、記事の抜粋です。


コロナウイルスは人間以外の哺乳類や鳥類にも感染します。カナダのアルバータ大学の研究者が、ネココロナウイルスの治療薬は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にも効果を発揮する可能性があると発表しました。この治療薬はプロテアーゼ阻害剤と呼ばれるもので、ウイルスの複製能力に干渉します。

アルバータ大学の化学者であるJohn Vederas氏と生化学者であるMichael James氏は、2003年のSARS流行を受けて、ネコの病気を治すプロテアーゼ阻害剤の研究を開始しました。そして2020年にCOVID-19が流行しだした後、2カ月かけて研究を行ったところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を阻害することに対してもネコ用のプロテアーゼ阻害剤が効果を発揮することが示されたとのこと。

通常であれば研究室内での実験を経て、動物実験を行い、その後に臨床試験へと入りますが、今回の薬はすでに動物に対する安全性が証明されているため、次の段階は臨床試験となっています。「この薬は人間に作用する可能性が非常に高く、COVID-19患者への抗ウイルス薬として効果を発揮するとみています」と研究者の一人は述べました。


元論文のタイトルは、”Feline coronavirus drug inhibits the main protease of SARS-CoV-2 and blocks virus replication(ネコのコロナウイルス薬は、SARS-CoV-2の主なタンパク質分解酵素を阻害し、ウイルスの複製を阻害する)”です(論文をみる)。

薬の名前はGC376です。猫伝染性腹膜炎という致死率100%の猫にとっては非常に恐ろしい病気です(病気の説明をみる)。病気を説明する日本語のサイトにもGC376の効果について書かれています。猫のコロナウイルスと同様、SARS-CoV-2に対しても増殖に必要なタンパク質分解酵素を阻害して、非常に低濃度(nmol/L)で効果があるそうです。

COVID-19の治療薬は選択肢が多ければ多いほど良いので、この薬にも期待しています。レムデシビルでもそうですが、ウイルスの増殖陽性によって治療効果のある薬は、感染の初期に投与する必要があると思います。

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