新型コロナを5類感染症にすると医療現場はどうなるか?
以下は、記事の抜粋です。
現在、新型コロナを季節性インフルエンザ並みの5類感染症にダウングレードすることが検討されています。これは、保健所・行政や入院病床の負担から生まれた議論であって、決して新型コロナが季節性インフルエンザ並みに軽症だというわけではありません。
今すぐにでも5類感染症へという意見は「ウィズコロナ」、まだ早計だという意見は「感染の抑制・収束」を想定しています。「感染症法」では、症状の重症度や病原微生物の感染力などから、感染症を「1類~5類感染症」の5段階と「新型インフルエンザ等感染症」「新感染症」「指定感染症」の3種類の合計8区分に分類しています(表)。
新型コロナは、症状がない陽性者を含めた入院勧告や就業制限、濃厚接触者や感染者の追跡などの対応が必要な、指定感染症の1~2類相当として扱われてきました。2021年2月から「新型インフルエンザ等感染症」という枠組みに変更され、これは感染症法における「特例枠」です。法改正に時間を要するため、柔軟に運用できるよう、新興感染症については特例枠が設けられています。
さて、もし今すぐ5類感染症にダウングレードすると、医療現場はどのようになるでしょうか。
保健所・行政の負担が軽減
5類感染症にすると、入院勧告や感染者の追跡が不要になります。現在、多くの保健所でおこなわれている療養者への電話や入院調整などの業務が軽減し、保健所・行政の負担が緩和されるでしょう。しかし一方で、国民に向けて自粛の要請が出せなくなります。特措法も適用できません。
感染者数の増加
5類感染症にすると、上述したように、保健所による入院勧告や感染者の追跡はなくなりますが、自宅待機要請・入院要請もできなくなることから、再生産数が高い変異ウイルスが相手なので全体の感染者数は増えると考えられます(ワクチンの接種がすすめばこの限りではありません)。感染者数が増えると、残念ながら中等症者・重症者も増えるでしょう。問題は、どのくらい増えるのかなかなか予測が難しいという点です。
医療従事者の負担は?
医療逼迫度は、単純に感染者数と入院を要する確率の積で決まります。感染者増によりICUベッドが逼迫すると、外科手術や救急医療に差し障りがでてきます。
5類感染症に分類を変えたとしても、現場運用としては個人防護具の装着やゾーニングは継続されるでしょう。これまで新型コロナ確定例を診てこなかった病院で個人防護具を適切に着脱して毎日の入院ケアが可能かと言うと、なかなかハードルが高いと思っています。
新型コロナ患者さんがいろいろな病院に分散されるため、短期的には新型コロナの診療で疲弊している病院の業務負担は減るでしょう。しかし、しばらくして中規模の急性期病院が新型コロナだらけ、という事態に陥る可能性があります。
医療費の自己負担が増える
現在の枠組みでは医療費はすべて公費で負担されています。そのため、PCR検査を受けても、コロナ病棟に入院しても、高額な点滴治療を受けても、お金はかかりません。しかし、5類感染症にした場合、検査費用(PCR検査、画像検査、血液検査など)、治療(例:レムデシビルは5日治療で約38万円の薬価)、酸素投与、人工呼吸管理などは最低3割負担の支払いになります。医療費が高額になるため、おそらく高額療養費制度を用いることになりますが、それでも「えっ、こんなに高いの!」とビックリする自己負担額になることは間違いありません。
新型コロナを5類感染症にすると、保健所・行政の負担が軽減して患者の医療費の自己負担が増えるのは間違いなさそうなので、ワクチン希望者への接種と医療従事者への3回目接種(ブースター)が終わったころにはそうなるような気がします。以下のような、ちょうちん持ちの記事もあります。
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