次世代経口抗凝固薬としてのXa阻害薬、ダレキサバン(YM150)とエドキサバン(DU-176b)

VTE予防で、経口Xa阻害剤「ダレキサバン」を国内申請

以下は、記事の抜粋です。


アステラス製薬は、経口Xa阻害剤「ダレキサバン」(YM150)について、術後静脈血栓塞栓症(VTE)予防の適応で国内承認申請を行った。VTE予防を適応症とする経口Xa阻害剤の申請は、第一三共が開発したエドキサバンに次いで、国内で2番目。

ダレキサバンはアステラスが自社創製し、大型化を期待する抗凝固薬。血液凝固カスケード中の活性化血液凝固第X因子を選択的に阻害することで、トロンビン生成を抑制し、血栓症を予防する。

膝関節・股関節全置換術施行患者を対象とした二つの国内第II/III相試験では、プラセボ群に対するVTE予防効果が確認されている。一方、海外では、アジア、欧州、米国でVTE予防を対象とした第II相試験を実施中。

同社は、VTE予防のみならず、心房細動(AF)患者を対象とした脳梗塞予防、急性冠症候群(ACS)患者を対象とした虚血性イベント予防の適応で、ダレキサバンのグローバル開発を進めている。現在、AFの適応で日米欧のグローバル後期第II相試験が進行中。ACSの適応でも欧州が後期第II相試験段階にある。


血液凝固では、まず何らかの原因で血小板が凝集して血小板血栓ができます。次に、多くの凝固因子が次々に反応してフィブリンができ、これが血小板血栓を覆ってフィブリン血栓ができます。

活性化第10(Ⅹ)因子は、ビタミンKに依存して肝臓で生成されます。第Ⅹ因子は、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、コファクターなどによってXaに活性化されます。Xaは、プロトロンビンを2箇所で切断し、トロンビンを作ります。トロンビンは、フィブリノーゲンをフィブリンに変換します。

現在、血液凝固を抑制する経口薬として市販されているのは、ワルファリンなどのビタミンK依存性凝固因子合成阻害薬です。ビタミンK依存性薬は良く効きますが、効力の変動が激しく、凝固モニタリングが必要なので、より使いやすい新規経口抗凝固薬は、ブロックバスター候補薬として期待されています。

新規経口抗凝固薬のターゲットとして最も注目されているのがXaで、非常に多くの薬物が開発中です。上記のダレキサバン(YM150)、エドキサバン(DU-176b)の他にもrivaroxaban、LY517717、apixaban、betrixaban、dabigatranがあります。

これらの新規経口抗凝固薬は、最初は短期のVTE予防の適応、次は長期のVTE治療、最後は心房細動のある患者での脳梗塞予防などの慢性疾患に対する適応をめざしています。これらの薬物が次世代の経口凝固薬として登場してくる日はそう遠くないと思われます。

Xaは、血液凝固カスケードの中心に位置する(OASIS-5 Trialより)

コメント

タイトルとURLをコピーしました