自民党重鎮「関与否定」発言から明らかになった「1億5千万円提供の指示者」~関連書類「仮還付」は可能
以下は、記事の抜粋です。
自民党本部から河井陣営に提供された1億5000万円に関して問題になっているのは、
(1)溝手候補の10倍もの資金提供は誰が決めたのか、
(2)何に使ったのか、
の2つの点だ。
克行氏が公判で供述しているように「自民党の党勢拡大、憲法改正の発議のため」だけだったのか、安倍晋三前首相が「溝手氏への私怨」から同氏の落選を狙ったのか、或いは、菅義偉氏、二階氏らが、総裁選を見据えて、安倍首相の後継の自民党総裁の有力候補だった岸田氏の大番頭の溝手氏落選を狙ったのかなど、様々な見方がある。いすれにせよ、1億5000万円の資金提供を決定した人物は、10倍もの資金提供の理由について説明責任を負うことになる。
上記(2)について、買収資金に充てられたことが明白になっており、上記(1)の1億5000万円の資金提供を誰が指示・決定したかが特定されると、責任追及が必至ということで、二階氏・甘利氏ら自民党重鎮が「関与否定発言」を行っていると見るべきであろう。
岸田氏も求めている、上記(2)の点についての自民党としての事実解明について、二階氏などは、これまで「検察から書類が戻れば、報告書を作成し、総務省に届ける」と述べて、「関係書類が検察に押収されていること」を、事実解明ができない「言い訳」にしてきた。しかし、河井夫妻の公判の状況からすれば、現時点では、その「言い訳」は全く通用しない。1億5000万円の使途を明らかにする関連書類の入手はすぐにも可能だ。
案里氏の公判は終了して判決が確定し、克行氏の公判は、既に、検察官立証も論告弁論も終了し、判決を待つだけの状況になっている。現時点では、党本部にとって、1億5000万円の使途の全容の解明はすぐにも可能であり、上記(2)について岸田氏の要請に応じない理由はないのである。
では、自民党幹部の説明が食い違っている(1)の「誰が資金提供を決めたのか」という点は、どうなのだろうか。この資金提供は、自民党の公式の政治資金によるものであり、自民党本部の会計責任者の事務総長が手続を行ったものと考えられる。その事務総長に対して、資金提供の指示を行ったのは誰なのか。幹事長が関わるのが通常だろうが、もし、二階氏が言うように、「幹事長が関わっていない」とすると、自民党本部内で事務総長に指示できるのは、幹事長より上位の役職者しか考えられない。そして、広島の選挙を担当していた選挙対策委員長の甘利氏が「1ミクロンも関わっていない」のであれば、「幹事長より上位の役職者」が、選対委員長を飛び越して、直接、事務総長に指示したことになる。
「首相動静」によれば、この合計1億5000万円の党本部からの資金提供が行われた前後に、克行氏と当時の安倍首相とは頻繁に単独面談を行っている。案里氏を公認した3月13日の前後の2月28日と3月20日、党本部から案里氏が代表を務める政党支部に1500万円を振り込んだ2日後の4月17日、3000万円を振り込んだ3日後の5月23日に安倍氏と克行氏とが単独で面会しており、6月10日に案里氏政党支部に3000万円、克行氏政党支部に4500万円が振り込まれた10日後の20日にも安倍氏と克行氏とが単独で面会し、その一週間後の同月27日に克行の政党支部に300万円が振り込まれている(【“崖っぷち”河井前法相「逆転の一打」と“安倍首相の体調”の微妙な関係】)。
事ここに至って、にわかに自民党重鎮間で「関与否定発言」の応酬が起きたことで、それが誰であるかが一層明白となった。
上が本命です。下はオマケです。
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