民主、どこまでも日和見 被災者、目に入らず

一昨日の茶番劇について、高村薫さんが書かれた文章が6月3日の神戸新聞に載っていました。タイトルは、「民主、どこまでも日和見」、サブタイトルは、「被災者、目に入らず」です。「バカ騒ぎをやめ、もっと働け」という、よく似た文章が朝日にも載っていたそうですが(ブログをみる)、こちらも秀逸ですので紹介します。


自民党が内閣不信任案を提出するのは、野党としての儀式だからいいとして、一時的にせよ同調した鳩山由紀夫前首相、小沢一郎元代表ら、一部の民主党議員は論外だ。「被災者のために菅直人首相が駄目」と言うならば、いずれ辞任するという首相の発言を理由に、不信任賛成を急に取りやめることはあり得ない。どこまでも日和見で、自分の損得しか考えていない人たち。被災者なんて目に入っていない。

そもそも震災前から、民主党は与党失格。財政再建や地方分権、社会保障問題などいくつもの問題を抱えながら、何一つ前に進むことができなかった。大震災が起きたからといって急に能力が発揮できるわけではない。

片や自民党。震災の規模も大きく、財政難の中で菅首相以上のことをできる根拠はない。これまで代案を出したわけでもなかった。だいたい原発事故は自民党時代の無策のつけで、反省すべき問題だ。

菅政権は一応の延命をみたが、何とも言いようのない気分にさせられるのは、これまで同様、物事が進まないだろうということ。月内にも作成されるといわれる「社会保障と税の一体改革案」で、消費税を増税して終わり。それしかできない。

増税となれば確実に景気は落ち込み、財政状況はさらに悪化。被災地の復興もままならず、どうしようもない状況に陥る。小沢元代表のグループが後を継いだとしてもこれを改善するのは無理だ。

福島第1原発の事故は深刻な状況が続き、周辺住民が戻れるかすら分からない。日本は望むと望まざるとにかかわらず脱原発に向かっていくだろう。だが自民党は菅首相の浜岡原発停止要請を批判し、民主党も支持母体との兼ね合いで、思い切った原発政策は打ち出せないだろう。有権者としては先が見えず、不安としか言いようがない。


茶番劇をみていて、津波にさらわれて陸地の上を漂う漁船の姿が浮かびました。どこで津波から逃れたとしても、もう廃船になるしかない漁船です。

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