高齢者の骨折リスク判定法&骨粗鬆症診断にまず行いたい簡易法

高齢者の骨折リスク判定法&骨粗鬆症診断にまず行いたい簡易法
糖尿病患者についての記事ですが、糖尿病でない高齢者治療にも役立つので紹介します。


高齢患者の「いつのまにか骨折」を防ぐために、簡易な簡易スクリーニング法を解説します。骨粗鬆症の薬物治療開始の判断基準や治療薬の考え方も。
自分でできる骨折リスクの判定方法として、FRAX®(fracture risk assessment tool)があります(表)。この評価法は、2008年2月にWHOが発表しました。インターネットでアクセスし、指定された質問項目に答えると自動的に算出されます。今後10年以内に骨粗鬆症による主要骨折を起こす可能性が15%以上の場合には、リスク大と判断し薬物治療の開始が推奨されます。この評価法は40~90歳の方を対象としていますが、75歳以上の方は、年齢のみで高リスクと判断されてしまうため、参考程度とします。

骨粗鬆症の診断には骨密度検査が必須であり、さらに測定部位と方法が重要です。通常は大腿骨近位部(頚部または全体)と腰椎(L2-L4)の骨密度を測定して判断します。手を用いたMD法や、踵で測定する定量的超音波測定法、小型のDXA装置で橈骨のみ測定する検査などが利用されています。ただしこれらはあくまでもスクリーニング検査であり、実際の体幹部DXAでの診断と乖離を認める場合も少なくありません。リスクを要する患者さんに対しまずは簡易的な検査を行い、異常を指摘された場合にさらなる精査としてDXAを施行することが望ましいでしょう。

薬物治療を開始する場合は、原発性骨粗鬆症に対する薬物治療開始基準(図)を参考にします。骨折の既往が無くても、1)大腿骨近位部骨折の家族歴を有すること、2)FRAX®での10年以内の骨折(主要骨折)確率が15%以上であることの2項目を満たす時には薬物治療開始が推奨されます。


記事では、薬物治療の詳細についても書かれていますが、ここではごく簡単に紹介します。

ADLが良好ならば、年齢に関係なく、転倒や骨折のリスクが高い場合は、ビスホスホネート注射製剤や、抗RANKL抗体製剤などを積極的に導入すべきであることや、活性型ビタミンD3製剤は、転倒予防効果が期待できる上、比較的管理しやすいため広く使用されていることなどが書かれています。

また、腎機能が低下している場合には選択的エストロゲン受容体調節薬(SERMs)等の使用を検討することや、治療が長期にわたる場合での休薬や薬物の変更についても良く書かれています。

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