漢方製剤による副作用について

約3割が漢方製剤の処方で副作用の経験
漢方薬には副作用がないと思っているヒトが時々いますが、効果のある薬には副作用があり、副作用がない薬には効果がありまえん。以下は、記事の抜粋です。


複数種類を組み合わせた生薬の抽出液を乾燥させた漢方エキス製剤。臨床現場でしばしば用いられる医療用漢方エキス製剤について、日経メディカルOnlineの医師会員にアンケート調査を実施したところ、「日常的に処方している」「たまに処方している」との回答が75.2%を占めた(図1)。処方の仕方としては、「症状・疾患によっては第1選択にする」「西洋薬と併用する」がともに4割超と多かった。

漢方エキス製剤を処方する症状・疾患については、かぜ(急性上気道炎)、こむら返り、便秘、消化器症状(食欲不振、胃もたれ、消化不良など)などが多く挙がった。

よく処方する漢方エキス製剤と、対応する症状・疾患の組み合わせの例
・かぜに葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯など
・こむら返りに芍薬甘草湯
・便秘に大建中湯
・認知症周辺症状に抑肝散
・食欲不振に六君子湯
・疲労・倦怠感に補中益気湯
・咳に麦門冬湯
・鼻炎に小青竜湯
・慢性硬膜下血腫に五苓散

副作用を経験したのは約3割
漢方エキス製剤を処方した患者に副作用が生じた経験があるかどうかを尋ねたところ、処方経験のある医師のうち30.8%が「ある」と回答した(図2、同じ設問で「漢方エキス製剤を処方していない」を選択した33人を除いた4671人で集計)。具体的な副作用としては、低カリウム血症、偽アルドステロン症、肝機能障害、間質性肺炎などが挙がった。

漢方エキス製剤による副作用の経験
◆偽アルドステロン症、低カリウム血症
・甘草による偽アルドステロン症を来したことによる低カリウム血症。体調不良を自覚して受診し、採血で低カリウムを認める人がたまにいる。(20代病院勤務医、総合診療科)
・甘草を含む漢方を漫然と処方していて、カリウムが異常値になっていたという経験をした。(50代病院勤務医、精神科)
・精神科で認知症に対して抑肝散を処方されていた患者が、その後具合が悪くなり、内科の私の外来へ。低カリウム血症だった。(50代病院勤務医、一般内科)
・別の医師が芍薬甘草湯を朝昼晩と長期で処方したために、自分の患者が偽アルドステロン症を起こしたことがある。(50代病院勤務医、精神科)
◆肝機能障害
・肝障害。恐らく黄芩が入っていたと思う。(50代開業医、消化器内科)
・肝障害の原因として大建中湯が疑われた。(30代病院勤務医、麻酔科)
・肝機能障害はしばしば経験する(50代開業医、耳鼻咽喉科)
◆間質性肺炎
・柴胡剤で間質性肺炎(50代開業医、一般内科)
・間質性肺炎。黄芩で(60代病院勤務医、一般内科)
◆下痢
・下痢など消化器症状が多い(50代病院勤務医、耳鼻咽喉科)
・大黄を含む製剤による下痢・腹痛(60代開業医、一般内科)

かぜに使われる葛根湯の主要成分の麻黄には、エフェドリン(Ephedrine)が含まれています。この中枢神経興奮作用でかぜが良くなったような気がします。

上記の甘草にはグリチルリチンが含まれていて、鉱質コルチコイド様作用により偽アルドステロン症をおこすのでナトリウムの貯留とカリウムの過剰排泄によって低カリウム血症がおきます。

このように漢方薬にはいろいろな薬効成分が含まれていますが、西洋医薬と違ってそれぞれの分量はロットによって異なります。だから、思いがけない副作用が出ることもあります。効果だけでなく副作用にも気を付けてください。

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