カフェイン中毒は遺伝子のせい?

Genome-Wide Meta-Analysis Identifies Regions on 7p21 (AHR) and 15q24 (CYP1A2) As Determinants of Habitual Caffeine Consumption

以下は、論文要約の抜粋です。


カフェインは世界で最も広く消費されている精神活性物質である。習慣的カフェイン消費には人口学的背景や社会学的背景がリンクしているとされているが、一卵性双生児研究によると遺伝的な要素が大きいことが報告されている。

本研究では、47,341人のヨーロッパ系アメリカ人のゲノム解析によって、習慣的カフェイン消費と関連する2つの遺伝子座位を発見した。1つ目はAHRの近く、2つ目はCYP1A1とCYP1A2の間にあった。AHRとCYP1A2は生物学的に可能性の高い候補遺伝子である。というのは、CYP1A2はカフェインを代謝し、AHRはCYP1A2を制御することがわかっているからだ。

カフェイン摂取は多様な生理的効果を持ち、健康に有害なことも良いこともある。カフェイン摂取の遺伝的決定素因に関する知識は、摂取行動のメカニズムの解明やカフェインが健康に与える潜在的効果を知る手がかりになるかもしれない。


上記のように、カフェインは主に肝臓でCYP1A2という酵素によってテオフィリンなどに代謝されます。また、CYP1A2の発現量には個人差があり、人によって10-60倍も違うとされています。

AHRの遺伝子産物AhRは、ダイオキシンなどのリガンドにより活性化される転写因子です。リガンドと結合していないAhRは細胞質内に存在し、hsp90(heat shock protein 90)などのタンパク質と複合体を形成しています。ダイオキシン類などのAhRリガンドが細胞内に取り込まれると、AhR核輸送因子(ARNT;AhR Nuclear Translocator)と結合して核に移行し、CYP1A2などの遺伝子の発現を制御します(AhRの解説をみる)。

CYP1A2遺伝子のプロモーター領域にはAHRレスポンス・エレメントという塩基配列があり、AhRが結合します。論文によると、カフェイン摂取と最も強く関連したSNPはAHR遺伝子の制御部分にありました。また、喫煙習慣とは関連がなかったそうです。

それにしても、300,000以上のSNPを調べて、2つだけがカフェイン摂取と関連した、しかもその片方はもう一方を制御するというのは、非常におもしろいと思いました。単純ですが、カフェインを良く代謝できるヒトが多くカフェインを消費するのだと思います。

Are you addicted to caffeine? Your genes may play a part in those cravings.

(Dailytechより)

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