上野千鶴子「人はなぜ不倫をしないのか。私には信じられない」

上野千鶴子「人はなぜ不倫をしないのか。私には信じられない」
思わず全部読んでしまいました。賛否両論あると思います。以下は、記事の抜粋です。


人はなぜ不倫をするのか。社会学者の上野千鶴子氏は、「むしろ、不倫しない人はなぜしないのか。結婚して性的な身体の自由を手放すなんて恐ろしい」という。

恋愛相手は“お友だち”
若いころは、こっちも高飛車なところがあったし、男たちとは「殺し合い」すれすれみたいな恋愛をしてきました。ただ女性学やフェミニズムと出合い、自分自身を受け入れることができるようになり、20代後半からは男との関係も安定してきましたね。

私は決して男嫌いではありません。男性は愛すべき生きものだと思っているし、尊敬できる男性もいる。年齢的に性欲は順調に落ちてきているけど、セックスも大好きですよ。

だけど、人と人との間に契約だの権利だの所有だのという関係が入るのが、どうしても認められない。だから結婚に魅力を感じたことは一度もありません。

恋愛は自由ですからね。私は恋愛相手を“お友だち”と言っています。ちょっと親しいお友だちもいれば、とーっても親しいお友だちもいて(笑)。お友だちならひとりである必要はありませんから。もちろん、人の気持ちは変わっていきます。私が変わる場合もあれば、相手の気持ちが離れていくこともある。それはもう、どうしようもないですね。嫉妬したって気持ちは戻らない。感情に鎖はつけられないですからね。そういうときは、人の気持ちは移ろうものよのうと、はらはらとひとり涙します。

性的な身体の自由を結婚で手放すなんて
私はフェミニズムが男との平等を求める思想である以上に、自由を求める思想だと思っています。平等より、私は自由がほしかった。性的な身体の自由はとりわけ重要なものだと思っています。それを結婚によって手放すなんて、考えただけで恐ろしいくらいです。フェミニズムについての話をいろいろなところでするのですが、年齢層が高いと、この「性的身体の自由」については、スルーして誰も反応してくれません。アキレス腱なんでしょうか。それとももう賞味期限切れと思っているのか。

恋愛はエゴイズムの闘いですよね。独占欲をあからさまに示すのは、人間らしいエゴイズムかもしれません。男はそれを無邪気に見せますね。男が不倫をするのは無邪気なエゴイストだからだといつも思います。女がそれを上回る無邪気なエゴイストになれば、男が黙って我慢してくれる関係になるかもしれません。

「だって悔しいのよ」「我慢できない」。そうやって叫んでもいいんじゃないですか。少なくとも我慢し続けるよりずっとましだと思います。

「別れてからは私がお母さんみたいになっている」
私は男を憎んで別れたことはないんです。「幸せになってね。私の手によってじゃないけど」。そんな気持ちで別れてきました。愛する価値のある男だったし、私自身もまっすぐ愛したという誇りがあります。

時間もエネルギーもかけた相手だから、別れたあとも悪い関係にはならず、友だちとしてストックがたまっていくんです。これはありがたいですよ。いろいろな専門家がいますから、困ったらすぐ相談に乗ってくれますし。

あちらもそう思っているんでしょうか。愛人を私に会わせる男もいますね。一緒にごはんを食べたりしてね、「いい子じゃない?」なんて言うと、うれしそうな顔をする。そうか、別れてからは私がお母さんみたいになっているのかもしれませんね。すでに男女の関係でないから相手への期待値が低い。その分、許容量が大きくなるから、別れた男と“たんなる友だち”でいられるのも悪いことじゃないと思います。

人はなぜ不倫をしないのか
不思議なもので、女同士だとずけずけ相手のプライバシーには踏み込めないのだけど、相手が男性だと踏み込めるんですよね。相手に踏み込んでいったとき、自分がどういう人間かもわかるわけで、そういう意味でも、私はずっと恋愛はしたほうがいいと思っています。

昔はね、女は弱者なんだから、男という強者を傷つけてもいいと思っていた。ところが案外、男が脆いものだとわかったのも、たくさん恋愛をしてきたからです。

「どんなに弱いと思っている女でも、誰より強いと思っている男より強い」と、私は長年の取材から感じている。メンタルと生命力において、やはり女性は強いのだ。鬱病になるのは女性が多いが、自殺は男性が多い。ぽきっと折れるのは男なのだろう。柳に雪折れなしのたとえ通りである。

男女の関係において、男が「いい人のまま」別れたがるのも、目の前で泣かれるのが嫌でLINEで別れを告げるのも、結局は弱いからである。だが、弱いからといって、ずるくていいとは思えない。


東京新聞の記事から引用した上野氏の紹介です。Wikiの紹介は偏っている気がします。

上野千鶴子(うえの・ちづこ) 富山県生まれ。京都大院博士課程修了。1995年から2011年3月まで東京大院人文社会系研究科教授。女性学、ジェンダー研究分野のパイオニアで、指導的理論家の一人。11年4月から認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。19年4月、東大入学式の祝辞で日本社会における女性差別の根深さなどを説き、反響を呼んだ。

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