ほとんどの人は嘘をつく時にストレスを感じます。しかし、権力者(そう自分で思っている人も含む)は、ストレスを感じにくく、嘘がバレにくい、という研究結果がでたそうです。以下は、紹介記事の抜粋です。
人は嘘をつく時、否定的な情動が引き起こされたり、生理学的なストレスを感じたり、嘘がバレる恐怖を感じたりするとのこと。その結果、そわそわしたり、発話速度を変えたりと「嘘をついている」という合図を自ら発することが多いという。
しかし権力を持つものの場合、これらが軽減されることが分かったという。他者の社会的結果や金銭的結果を支配するといった力を持つと、人は認知能力が向上し良い気分になるという。「力を持つ」ことによる感情的、認知能力的、生理学的影響は嘘をつく時と正反対であり、権力ある者のほうが嘘によるマイナスの影響が軽減され、上手く嘘をつけるということだそうだ。
元論文のタイトルは、”People with Power are Better Liars”です(論文をみる)。
実験では、47人(女性29人)の多人種にわたる被験者を、以下のように(高パワー、低パワー)と(嘘をつく、嘘をつかない)の2X2=4つのグループに分けました。被験者は、leader(高パワー)とsubordinate(低パワー)の2つグループにランダムに分けられ、leaderは、subordinateにお金を与える権限を持ちます。参加者は、密室で、隠してある封筒に入った100ドルを盗むか(嘘をつく)、盗まない(嘘をつかない)かの指示を受けその通りに実行します。その後、盗んでも盗まなくても、面接者に対しては盗んでいないふりをするように指示されます。うまく嘘がつけたら、100ドルのボーナスが出ます。つまり、盗んでうまく嘘がつけた人は、盗んだ100ドルとあわせて200ドルを得ます。
面接は、何も知らない面接者によって行われます。はじめは、「外の天気はどうですか?」といったコントロール質問、あとで「あなたはお金を盗みましたか?」、「あなたは嘘をついていませんか?」という本番質問がされます。その様子がビデオでとられ、被験者は面接直後に唾液を採取されます。被験者は、「羞恥」などの表情や「早口さ」などの行動でスコア付けされ、唾液中の副腎皮質ホルモンが定量されます。
その結果、subordinateは、盗んだ場合(嘘をついた場合)に上記スコアやホルモン値が有意に上昇しましたが、leaderは、盗んでも盗まなくてもスコアやホルモン値は上がりませんでした。著者は、ディスカッションの中で、「権力者は、嘘をつくときに『罪の意識』、『心の負担』や『生理的ストレス』を感じないので、より楽に、より強く、かつより頻繁に嘘をつくかもしれない」と述べています。さらに、「権力者の嘘は見抜きにくい」とも述べています。
いろいろと思い当たることがあります。
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